読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
-1
kiji
0
1
1143406
0
タダより高いものはない
2
0
0
0
0
0
0
経済・金融
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
はじめに

『タダより高いものはない』
[著]上念司 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:6分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ



 経済学者ジョージ・アカロフとロバート・シラーによれば、「人々は驚くほどしょっちゅう、カモとして釣られている」(『不道徳な見えざる手』東洋経済新報社、二〇一七年)そうです。


 消費税の増税のみならず、自民党の()(いずみ)(しん)()(ろう)議員が推進する「こども保険」なる実質的な増税も、基本的には国民を痛めつける緊縮政策です。国の政策のみならず、高利回り元本保証を(うた)う金融商品も、相変わらず根強い土地神話も、事実無根のファンタジーです。引っかかれば必ず損をする「カモ釣り」だと思ってください。もう(だま)されたくないと思ったら、この本を最後まで読んでください。


 たとえば、日本の次のリーダーになるかもしれない政治家が大真面目にこんな話をしています。自民党の(いし)()(しげる)という政治家です(編集部注=以下、引用部分の数字表記はすべて漢数字に統一します)



 二六日(引用者注=二〇一七年六月)のインタビューで、「通貨に対する信認はすごく大事」であり、「PB(引用者注=プライマリーバランス、基礎的財政収支)黒字化は絶対必要だと思っている」と語った。財政赤字が拡大し大量の国債を発行しているにもかかわらず、国債相場が暴落(金利が急騰)しないのは、投資家が「いつか必ず日本は消費税を上げると思っているからであり、どうも本当に上げないみたいだということになったら、もういいや、ということになるのではないか」と述べた。01



 なるほど! いま日本政府がこれだけたくさんの借金をしているのに、なぜか国債価格が上昇し続けている理由は、「消費増税」への期待だったんですね。初めて聞きました。では、消費増税が延期されたとき、市場はさぞかし落胆して国債は一時的に暴落したんじゃないでしょうか? 念のため国債価格の推移を確かめておきましょう(図表0‐1)




 このグラフは過去一〇年間の国債価格の値動きを示しています。()()(しん)(ぞう)総理は二〇一四年以降、消費増税を二度にわたって延期しましたが、国債価格の暴落は起きているでしょうか? このグラフのなかで最も国債価格が安いのは二〇〇八年ですが、安倍政権が誕生してからその最安値を下回ったことは一度もありません。むしろ、国債価格は右肩上がりのように見えます。石破氏は何を根拠に国債暴落などと言っているのでしょうか?


 おそらく石破氏にはなんの根拠もありません。なぜなら、客観的なデータは日本の財政破綻どころか財政再建が終わったことを示唆しているからです。くわしくは第五章をお読みください。ところが、石破氏のみならず、多くの政治家や学者たちが大真面目に日本の財政破綻を心配(ふい)(ちよう)?)し、国民の不安をかき立てています。そして、彼らは財政破綻を避ける唯一の方法として消費増税を断行すべしと主張するわけです。国際公約だとか、国民を甘やかす政治家は悪いやつだとか、もっともらしい話を添えて。


 しかし、そんな与太話よりずっと説得力があるのは、アベノミクスの具体的な成果です。失業率の低下、就業者数の増加、相対的貧困家庭の減少、財政の大幅な改善など、目に見える成果や、客観的な数字はいくらでもあります。誰も否定できません。そして、何より大事なことは、日本の借金が驚異的なペースで減少し、資産が爆発的に増えているということです。これも数字で証明可能なのですが、なぜか石破氏のような政治家は取り上げません。


 彼らの目に入ってくるのは、国民を不安にさせる数字と、甘い、甘い解決策です。こども保険、消費増税など、見た目に社会保障の充実に見える政策はすべて不必要な増税であり、日本経済にとって百害あって一利なしのゴミ政策です。まさに甘い言葉でカモを釣る。マスコミはカモ釣り師たちの味方であり、まったく信用できません。


 ところが、話はこれだけにとどまりません。政治家のみならず、世の中のあらゆるものがカモ釣りにあふれているのです。たとえば、「土地は必ず値上がりする」「大企業はつぶれない」「自分年金を持てば安心だ」といった根拠のない主張です。


 一九九一年の土地バブルをピークとして、都心の一等地などを除き、ほとんどのエリアの地価が下がっています。(とう)(しば)が「チャレンジ」と呼ばれる粉飾決算で経営が立ちいかなくなり、バラバラに分割されて売られることになりました。(さん)(よう)電機もシャープもつぶれて買われていきました。優良企業だと思われていた()()フイルムですら巨額粉飾決算で期日までに有価証券報告書を提出できないという異常事態に陥っています。逆に、年金は吹聴されているほど(ぜい)(じやく)なものではなく、じつは「長生き保険」として、きわめてすぐれた設計がなされています。


 ここで、ひとつのパターンに気づきませんか? カモ釣り師は最初に将来への不安を徹底的に(あお)ります。財政破綻、国債暴落、ハイパーインフレ、医療崩壊、年金破綻、老後の不安……ネタはいくらでもあります。そして、彼らは徹底的に不安を煽ったうえで、甘い、甘い解決策を提示します。しかも、その解決策はたいていろくでもないもので、ほかにもたくさん検討すべき解決策はあるのに、そのことは徹底的に無視します。おそらく、その無理筋な解決策をわざと選択させようとするために不安を煽っているのではないか。そう思えてしかたありません。


 ろくでもない解決策が甘い、甘い解決策に見えるのは、いたずらに不安が煽られているからです。正しい数字、客観的な情報を知れば、そんな不安にさしたる根拠がないことは簡単に見抜けるようになるでしょう。本書はある意味、悪徳商法から身を守るためのマニュアルにもなっておりまず。ぜひ最後までお読みいただければうれしいです。


(じよう)(ねん)(つかさ)


01) 『石破氏:PB黒字化変えたら終わり─異次元緩和「いつまでもは困る」』(「ブルームバーグ」二〇一七年六月二七日)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-06-27/OS5AUO6TTDS001

この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:0文字/本文:2547文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次