『タダより高いものはない』
[著]上念司
[発行]イースト・プレス
その点に関しては諸外国の先行事例に学びましょう。かつて医療費の増大に苦しんだスウェーデンでは、一九九〇年代に病床数と医療費増大の相関関係に気づきました。その主たる原因である高齢者向けの医療制度です。寝たきり老人をたくさんつくれば医療費が増大する。しかも、高齢者のQOLは著しく下がります。そんな当たり前のことに気がついたのです。
そこで、一九九二年にエーデル改革という大胆な医療制度の見直しが実施されました。ひとことでいえば、この改革は寝たきり老人をつくらない政策です。改革の三本柱は、おおむね次のようなものです。
①コミューン(日本でいう市町村)への大胆な権限移譲。