『タダより高いものはない』
[著]上念司
[発行]イースト・プレス
大変残念なことに、河野氏が主張することを日銀が真に受ければ、市場にいらぬノイズを響かせて混乱を生むだけです。出口政策は出口が見えてきたときに検討すべきものです。目的地に着く前に高速道路を降りるバカはいません。河野氏が言っていることは日銀に「バカになれ」と言っているに等しいわけです。
しかも、そのノイズは、「将来の金利上昇リスクを回避するため、いま金利を上げる」という本末転倒なノイズです。本人は大真面目で言っているのかもしれませんが、まったく市場や経済を理解していないことは明白です。
また、大量に積み上がった国債を売却などせずに、永久に日銀が国債を保持する方法もあるんです。この点については後述しますが、なぜか河野氏はこの選択肢を無視し、始まったばかりの金融緩和の出口をやたら早く検討すべきだと主張します。明らかに何かがおかしい!