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殺される患者、生かされる患者 100点の治療を受ける方法
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08 救急外来を訪れるとき (1)

『殺される患者、生かされる患者 100点の治療を受ける方法』
[著]児玉知之 [発行]ワニブックス


読了目安時間:4分
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×[殺される患者] 内服薬を形と色で覚えている
◎[生かされる患者] 内服薬を正式名称で覚えている

 次の患者さんは58歳女性です。50歳を過ぎた頃から高血圧、脂質異常症、糖尿病であることがわかり、近くのクリニックで投薬を受けています。


 友人たちと温泉旅行を楽しんでいる最中、急に気分が悪くなったため、旅館の近くにあった救急外来で検査を受けました。



 医師「とりあえず検査結果がそろいました。今の具合はどうですか?」


 患者「ここに来たときよりはだいぶ良くなったんですが。結果はどうでしたか?」


 医師「そうですね。心電図とかレントゲンにはとくに異常はありませんでしたよ。ただ、採血で血糖値がやや低めだったので、ひょっとするとそれも気分が悪くなった原因のひとつだったのかもしれませんね。点滴を受けていただいてからもう一度計測してみたら数値が上がっていたので、もう大丈夫だと思うのですが……。糖尿病で何か薬を飲んでいるんでしたよね?」


 患者「はい。そうです」


 医師「どの薬ですか? 種類によっては数時間後にまた低血糖がぶり返すこともあるかもしれないので」


 患者「ああ、そうですよね。ええっと、ひとつは、小豆くらいの大きさで白い楕円形の錠剤で……パッケージは確か緑色です」


 医師「そう言われましても薬ってだいたいそんな形ですからね……。現物はありませんか?」


 患者「すいません。慌てていて旅館に置いてきてしまいました」


 医師「それじゃあわからないですね。血糖値に関する薬はほかにも?」


 患者「ええと、薬は3種類飲んでいるんですけど、かかりつけの先生の言われた通りに飲んでいるので、正直そのうちどれが糖尿の薬なのかまではちょっと……」


[医師のホンネ] 「自分が飲んでいる薬もわかってないのか。しょうがないなあ。薬の形だけ覚えていたって何の意味もないんだけどなあ」


服薬歴が重要なワケ



 受診する際に、これまで自分がかかった病気の経過を把握しておくことと同じくらい重要なのが、「どんな薬を、どの程度内服しているか」ということです。


 これを「服薬歴」と言い、医師は重視します。


 なかでも医師が最も知りたいのは現在の服薬歴です。薬剤によっては飲み合わせで副反応や副作用が強まる場合もあるので、新規に薬剤を処方するときは、患者さんが現在内服している薬剤成分を参考にして処方するのが鉄則です。


 また、過去の服薬歴も大きな参考になります。


 ある症状が治らないときに、新たな医療機関で受診をするケースを考えてみましょう。あなたは過去に以前の医療機関で処方を受けたはずです。長期間付き合っている症状であれば、それこそ何種類も。そしてその都度、処方箋通り()()()に内服してきたのに、症状は良くなっていない。


 このような経過で過去の服薬歴を把握せずに別の医療機関を受診したとしても、恐らく同様の診断結果、同様の処方をされて時間とお金の無駄になる可能性が高いでしょう。


 というのも、ある症状に対して医師が使用する薬剤というのは、薬剤の名前やメーカーは異なっても、だいたい同じようなものになるからです。



 たとえば下痢の症状であれば、初回は乳酸菌などを主成分とする整腸剤や、タンニン酸などを主成分とする軽めの()()剤を処方します。それでも下痢が止まらない場合は、ロペラミドなどのオピオイド受容体に作用し腸管の(ぜん)(どう)運動を強力に抑制する薬剤を処方する、といった具合です。


 もしこれらの薬剤を飲んでも下痢が慢性的に続くのであれば、(すい)(ぞう)の機能が下痢に関わっていないのか、特殊な感染症などではないのか、または過敏性腸症候群のような疾患ではないのかなどといったように、無効であった薬剤を参考にして鑑別を絞り込むのです。


 専門用語はさておき、治療には一定のパターンがある、ということです。


 また、過去に使用した薬剤いかんによって、その後使用が制限される薬剤があったり、特殊な感染症にかかるリスクが高まったりするような場合もあります。


 そういった込み入ったケースでは医師から積極的に訊ねてくる場合が多いのですが、患者さん本人が覚えていなければ答えようがありません。


医師は薬剤の色や形など知らない



 処方された薬剤をその色や形、パッケージなどでしか把握していない患者さんが大勢います。誤飲を防ぐためには必要な知識ではありますが、その情報をもとに薬剤を特定することはできません。


 そもそも調剤は薬剤師の担当なので医師は薬剤の色や形など知らないと思ったほうがいいです。第一、薬剤師であったとして色、形だけで確実に識別することはできません。


 そういう意味では、病院で薬剤を処方されたときにそれを携帯電話のカメラで撮っておくだけでもいざというときに効果はありますよ。

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