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生涯未婚時代
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人文・科学
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はじめに

『生涯未婚時代』
[著]永田夏来 [発行]イースト・プレス


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 二〇一五年の総務省統計局『国勢調査報告』によれば、五〇歳の時点での婚姻状況によって示される生涯未婚率は男性二三・四%、女性一四・一%と過去最高の結果となりました。これまでの日本は九割以上の人が結婚をしていて「皆婚社会」といわれてきました。しかし生涯未婚率は一九九〇年以降急激な上昇を示し始め、二〇三〇年には男性で約三割、女性は約二割との予測がなされています。


 この状況は人口減少に直結するとみなされて現在社会問題となっており、政府主導による「官製婚活」をはじめ様々な活動がなされています。


 しかしここで問いたいのです。

「ある程度の年齢になったら結婚をする」「結婚して子どもを持つ」「夫婦で子育てをする」といった順番や基準となる年齢、そしてこのような画一的な家族のスタイル自体を問い直す必要はないのでしょうか。家族は独立して存在しているわけではなく、企業や行政、学校などと連携して社会を作っている一つの単位です。グローバル化やIT化の影響を受けて働き方や教育のあり方が変わっている今日、家族もそれに合わせて変わっていくのがむしろ自然な姿です。


 私が専門としている家族社会学は、画一的な家族のあり方を批判し、家族の多様性をかつては主張していました。しかし、いつのまにか「結婚して家族を作るべきだ」「家族とは本来良いものだ」といった話に引きずられて、学問ならではのニュートラルな視点を失っているように見えます。


 本書では家族社会学の知見に加えて、若者論、メディア論などを援用しながらこれからの結婚や家族のあり方について考察をしています。


 第一章では生涯未婚時代に注目する意義について取り上げています。第二章では生涯未婚時代と男性ジェンダーとの関係について、特に「弱者男性」をくじいているという点を中心に論じました。第三章では女性のジェンダーとの関係について、結婚の変わらなさに注目した議論を行いました。第四章では家族との関係について、第五章では未婚者を包摂する可能性について、それぞれ書いています。第六章は全体のまとめにあたります。


 それぞれが独立した内容になっていますが、全体像を第一章で述べているので、はじめから読み進めるのが一番わかりやすいと思います。


 本稿で注目しているのは、結婚経験を持たない中高年の増加に加えて、結婚を人生設計に組み込まない若者の登場という事実です。「結婚して家族を作るべきだ」「家族とは本来良いものだ」という考えやそれに則った行動に比べると、これらは二つとも統計上では小さな数字になってしまいます。このため、計量によるエビデンスに加えて観察やインタビューなどを用いた論考が本稿の中心となります。中には少々「変わっている」と感じる例もあるかもしれません。しかし、だからこそ「べき」にとらわれない結婚や恋愛の現状が見えてくるものと思います。


 来るべき生涯未婚時代について、本書をきっかけにみんなで考えていきましょう。

(本書ではインタビューやフィールドノートを随時参照しましたが、複数の事例を組み合わせたり類似の情報に置き換えるなどして本人の特定を避けています)

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