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消えた市区町村名の謎 地名の裏側に隠されたふるさとの「大人の事情」
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雑学
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なぜ、市区町村名は漢字が多いのか

『消えた市区町村名の謎 地名の裏側に隠されたふるさとの「大人の事情」』
[著]八幡和郎 [発行]イースト・プレス


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「いい意味の漢字」をあてたものが多い日本の地名


 日本の市区町村名のほとんどは漢字で表記されます。最近はひらがなの名称が()()っていて、市だけで31の名称にひらがなが含まれています。そのうち23市はひらがなだけで表記されています。


 カタカナは最近あまり流行っていません。カタカナだけの名称は北海道(あぶ)()郡ニセコ町だけで、市では山梨県(みなみ)アルプス市だけがカタカナを含んでいます。ただし、神奈川県()()(さき)市のように「ヶ」を含むものが市だけで6つあります。


 私はひらがな市町村名をあまり好みません。文章のなかに埋没してしまうからです。カタカナはそういう弱点はありませんから、否定する必要はないように思います。


 漢字は表意文字ですから、本来は意味がありますが、本来の意味から離れたものも多いため、漢字とかなを区別する必要はないのではないでしょうか。


 漢字地名のひとつのタイプとして合成地名があります。東京の特別区の名称に(おお)()区がありますが、それぞれの漢字に由来はあるものの、どう見ても大田区は広々とした田園地帯ではありません。戦後に(おお)(もり)(かま)()が統合されて発足したものです。


 もうひとつのタイプは発音に合わせた当て字です。いくつかのタイプがあります。


 一つ目は、古くから使われていた地名で語源不明のものに漢字をあてはめたものです。令制国名や郡名はほとんどが語源不明です。


 武蔵(むさし)国という令制国名を見ても、漢字からはなんのことか見当もつきません。「ムサシ」は埼玉県(ぎょう)()市付近の地名で、語源は「むさくるしい」という意味ではないかといわれますが、よくわかりません。「无邪志」のように万葉仮名をあてていましたが、正式な表記は決められておらず、まちまちでした。


 (へい)(じょう)遷都のすぐあと、(げん)(めい)天皇の713(()(どう)6)年に「(しょ)(こく)(ぐん)(ごう)(めい)(ちょ)(こう)()(れい)」という勅令が発せられて、全国の国、郡、郷の名を漢字2文字、それもいい意味の漢字を使って書きましょうということになりました。


 これに先立ち、令制国名については同様の動きが先行していましたが、郡や郷についても統一的にこうした方針が決められました。このような動きは小地名や山川湖沼にもおよんだとされます。


意外とシンプルな地名の由来


 二つ目は、日本語とは違う言葉の地名に万葉仮名風に漢字をあてたものです。北海道の地名のほとんどがアイヌ語の地名です。虻田郡倶知安(くっちゃん)町など、いかにも万葉仮名の世界です。(にっ)(さん)自動車のCMの「ケンとメリーの木」で有名になった(かみ)(かわ)()(えい)町が「油ぎった川」を意味するアイヌ語がもとになっているとは誰も思いません。


 古代韓国語に地名の起源があるという説が流行ったことがありましたが、まったく根拠がありません。古代の百済(くだら)語は書き言葉になったことがないため、まったく実態がわかっておらず、何を主張しても思いつきでしかありません。


 奈良は韓国語の「国」という意味だというこじつけを主張する人がいますが、「(草を)ならす」という意味であることが『日本書紀』に書いてあります。現代の韓国語に似た単語があり、「奈良」という地名が「国」を意味する現代韓国語に似ているといわれても、それがどうしたというだけで、そんなことで奈良の語源は古代韓国語に何か関係あるに違いないと、なぜいえるのかわけがわかりません。韓国語起源説はほかの主張も一顧だにする価値はありません。


 漢字から意味を探っても意味がないのは地名だけでありません。日本人の(うじ)はだいたい「田中」「横井」など地形や隣接の施設にもとづいていますから、漢字に意味があります。


 少し特殊なのは官職や仕事に由来するものです。(ふじ)(わら)(ほっ)()で藤原(ひで)(さと)の子孫の(きん)(きよ)()()(もんの)(じょう)になり、「左」と「藤」から日本でいちばん多い「()(とう)」という名字になったように、官職にもとづいたものもあります。


 私の名字であり、市町村名に多い「()(わた)」は近くに(はち)(まん)神社があったことに由来していそうですが、()(はたの)(かみ)の語源は「やわたの神」というヤマト言葉の神さまの名が先にあって、発音に合わせて当て字で八幡としましたから、「八枚の旗」という意味を論じてもしかたありません。

(すず)()」という日本で2番目に多い名字は、意味としては植物のススキに由来するものですが、「鈴」という漢字は当て字ですから、なんの意味も込められていません。


 三つ目はイメージのいい表記に変えたタイプです。地名が成立したときは漢字に意味があったのに、あとで好字をあてたため、もとの意味がわからなくなった例があります。

「高知」はもともと「(こう)()」で、(かがみ)(がわ)()(くち)(がわ)のあいだに位置することからつけられた名でした。水害が多いイメージに見えるということで高知に変更したものです。高知という漢字からは本来の意味がわかりません。


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