『要領のいい人・悪い人 「ウマイことやる」生き方のコツ』
[著]中山正和
[発行]PHP研究所
禅修行はこれを一番重要視します。禅寺には至るところに「莫妄想」と書いた書や額がかかっています。これは「妄想するなかれ」と読むのですが、その訓練が身についてくると「妄想するなし」、つまり妄想することはなくなるのです。われわれは日常、どれだけ「考えても仕方がないこと」に煩わされているか、このことはよくよく反省してみる必要があります。
とくに、クヨクヨというのは普通「不快なこと」がタネになっています。「不快」だというのは、生物が「生きる」ために有害な刺激を肉体に受けていることで、この刺激はただ外部から受けるものだけではなく、そのことのイメージを思い浮かべるのも同じなのです。梅干しを見ただけでツバが出てくるとか、高いところに上がると足が震えるようなことは、すべてイメージが「いのち」を刺激している現象です。