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要領のいい人・悪い人 「ウマイことやる」生き方のコツ
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生き方・教養
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あとがき

『要領のいい人・悪い人 「ウマイことやる」生き方のコツ』
[著]中山正和 [発行]PHP研究所


読了目安時間:7分
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要領」について書けという話があったとき、ちょっと面白いテーマだナとは思いましたが、考えてみますと、まことに要領を得ないことで、そのとき思い出したのが、松下幸之助さんが、昔、「品質管理とは何か?」という講演をお聞きになって最後に感想を一言、「要するによう考えてウマイことやれちゅうことやナ」と言われたことです。こんな要領を得たコトバはやはり松下さんでなければちょっと出てこないのではないかと思います。


 仕事の「要領」を知るには一つはアタマで解析的に考えることと、もう一つはカラダで覚えることが必要だということを述べてみました。当たり前みたいですが、ここでどちらかに「(とら)われる」といけません。考えることが大事だといっても考え過ぎてはいけないし、何事も経験だよとばかりに無茶苦茶に働くだけでも要領がいいとは言えません。やはり「よう考えてウマイことやる」というのが一番よろしい。いわく言い難しです。


 そういうことで、アタマで考える方とカラダで覚える方の両側から話を進めてみたのですが、結局「ウマイこと」というコトバのニュアンスは「よう分からず」仕舞いになってしまったようで、まことに要領の悪い結末に終わりました。


 ところで、皆様は冒頭に説明した「王出しゲーム」を試されたでしょうか? 私はこの本を書き出してから四六時中これで遊んでいました。何回やったかもう勘定できないくらいですが、なぜそんなに続いたかといいますと、何回やっても何か「釈然としないもの」が残るのです。釈然としないのは、ときどき自分でもオヤッと思うほどウマくできてしまうことがあるかと思うと、翌日には何とも要領の悪いことばかり繰り返してみたりで、それがなぜかが分からないのです。そろそろコツというか要領というものが分かってきたナと思っているトタンにそのコツが消えています。そのうち本当に「大人気ない」という気もしたけれど、どうしてもこのモヤモヤは解決しなくてはならない。「考えるタネがなくなれば」持論である「☆記憶の自発」が起きて、「解き方のルール」が忽然と分かるだろうと考えていたのです。


 この場合それしかないでしょう? OR的に言えば「目的」ははっきりしていますから、その次は「調査」ということになりますが、ここでは調査すべき何物もありません。そうすると「方法を並べてみる」ことが最初です。しかし、どんな「方法」があるというのでしょうか? 碁や将棋と違って「相手」の出方に惑わされることはないにせよ、コマの動かし方──一つ動かしてその次にどのコマをどう動かすかということを考えたら、これは大変な可能性を持つことになりますから、アタマでは考えるだけ損、もしやるというならコンピュータの助けを借りなければならないことになります。


 ですから、この場合はOR的問題追跡法は役に立たないのです。つまり科学的アプローチではなくて、純粋にカラダ(指)からの☆記憶を活用するほかはないのです。私がこのゲームが「発明」によく似ていると言いましたのは、発明のコツ、要領というのがまさにそれなので、発明には論理思考は必要だが、コツはこのゲームと同じで、ORなんか何もならないことを悟るところにあるのです。これも、本田宗一郎さんがマーケット・リサーチ万能論の華やかなりし頃、「マーケット・リサーチなんてものはいらないヨ」と言われた、あの心境と同じなのです。


 学者と芸術家、先生と職人の関係です。学者や先生は「真理」を発見しようとしますが、芸術家や職人は自分の気にいった「モノ」ができればいいのであって、真理がどうであるかは問題にはしません。発明も「目的」が達成されるならリクツはどうでもいい、「念力」でできるものだったらこれが一番早いのです。


 念力が何であるかは分かりませんが、私はこれも生物に与えられた自然の法則によるもので、自然の法則というのなら、ここに働く力は「自己組織性」に求めるのが一番無難だと思いますから、「王出しゲーム」の場合でも、うまいことできるようになるのはやはり☆記憶を蓄積するよりほかない、ということになるのです。つまり、「要領」というものの純粋な形とはこういうものだということを、このゲームは教えてくれるものだと考えたのです。


 もちろん、こんなゲームをやったからといってアタマがよくなるわけでもないし、直観力を養うことにもなりません。ましてこれを何かのテストに使うなどということは全然意味がないのですが、自分の仕事のやり方になぞらえてみますと、いろいろ面白い発見ができるはずです。ものは考えようです。


 そこで最後に「余興」を一つ。

ボクと彼女はある中小企業に勤めている社員ですが、できるだけ早い時期に結婚したいと思っています。ところがこの会社にはガンコ一徹の会長とその奥様がいて、ことごとに社長のやることに文句をつけてきます。社長は何とかして会長夫婦の発言力を弱めたいと思って、腹心の一人であるボクにそれとなく協力を要請しています。そこで、ほかの社員の思惑もあろうけれど、なるべく波風を立てないで、うまいこと社長に実権を持たせ、同時にボクと彼女が結婚でき、しかも社長側近の幹部に出世できるような方法はないか?」という相談を受けました。ついては、その作戦を占ってみようというわけです。普通の占いと違って、これは自分の直観を頼りにしますから、それだけ信頼性があるとも言えます。


 ゲーム盤の上でこの状態を表しますと第18(1)のようになるでしょう。会長は権力を持っていますからACE、その奥様はすぐ余計な口出しをする意地悪だからJOKERとします。この二人が一番上に頑張っています。ボク(JACK)と彼女(QUEEN)は社長(KING)側ですが、いまはまだ左右に離れています。


 目的はこの関係を同図(2)のように、社長を上に戴き、ボクと彼女は一緒になってその側近に、会長夫妻は権力剥奪ではないが社長配下に降りてもらう。あとの社員たちは適当に分散配置をする──こういうふうに置きたいのです。つまり、この(1)から(2)への変換がうまくできるかどうかを占ってみようというわけです。


 まず、図の(1)を見ますと、動けるのはQUEENかJACKだけです。ということはボクか彼女のいずれかが一歩後退せよ、ということです。ま、この際QUEENに下がってもらいましょうか。


 以下の(A)から(M)までの図は、自分でコマを動かしてみたときのいきさつです。その場その場で思いがけない妨害が現れたり、平社員に助けられたり、これでうまくいくと思ったことが裏目に出たり、行き詰まりになってどうにも仕方がなくなったり……そういうことが繰り返されたあと、結局(M)のように所期の目的を達成することができるでしょう。この軸は先に目標とした(2)図とは♣とか♥などのコマの配置が違っていますが、これは平社員のことで、大局の目的は達しているのですから問題にはしないことにします。


 文筆の才能をお持ちの方は小説のヒントをつかまれるかもしれませんし、経営を考えておられる方は人事異動についての新しい発想を得られるかもしれません。お楽しみ下さい。なお、私はこうして何回もこのゲームをやってみて、結局その要領は、上段に並んでいるKING、JACK、QUEENの列と、下段にあるACE、JOKERの列を入れ替えることである、ということに気付きました。念のため申し添えておきます。


 おわりに、ヘンな本にもかかわらず細かいところまでよく面倒を見ていただいたPHP研究所第一出版部の中沢直樹氏に厚くお礼申し上げたいと思います。



 一九九二年三月

中山正和 

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