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生き抜くための恋愛相談
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“スタティックな関係”から“ダイナミックな関係”へ

『生き抜くための恋愛相談』
[著]桃山商事 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:9分
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マトモな男性とのデート、直前でイヤになるのはなぜ?

お悩み

本当にいい人だと思うのですが……




 すごく惹かれてるわけではないのですが、これまで出会った男性の中で一番「マトモだ」と思える人がいます。向こうから誘われて2回ほど飲みに行きましたが、デート直前になると「なんか違うんだよなぁ……」とイヤになってしまいます。


 マトモだと思う理由は、メンタルが健康だから&優しいから&稼ぎが安定しているからです。それに、私への好意を感じるし、人柄としては最高だと思います。


 これまでは、すぐ泣く人、まったく連絡をくれない人、「彼女いらない」と言ってキープしてくる人などと恋愛をしてきました。それゆえ、「これらの要素がない=マトモ」という思考になっています。


 しかし、こうやってモヤモヤしているときに例の「彼女いらない」と言ってキープしてきた人(今は既婚)から連絡が来ました。それで会ってみると、「やっぱり超楽しい……」となりました。私としては結婚して子どもが欲しいので、もう割り切ってこういったマトモな人と付き合うのがいいのでしょうか?

30歳・智美)



智美さんは何に悩んでいるのか



 まずは智美さんの現在地から考えていきたいと思います。この相談文から見て取れるのは、「考えていることと感じていることの不一致」から生じる戸惑いです。


 智美さんを悩ませているのは、優しくてメンタルが健康で、自分に好意を寄せる〈マトモ〉な男性です(以後、「マトモさん」と呼びます)。マトモさんは条件的に申し分ないはずなのに、デートの直前になるとなぜか突然イヤになってしまう……。この心の動きが自分自身でもイマイチ理解できないことが、智美さんの悩みの種になっています。


 この悩みを考えるうえで鍵となるのが、〈すぐ泣く〉〈連絡をくれない〉〈キープしてくる〉といった過去の恋愛相手たちです(以後、彼らのことは「クソメン」と呼びます)。智美さんの認識では、マトモさんがマトモであるのは、クソメン要素(=すぐ泣く、連絡くれない、キープしてくる)がないからです。さらにマトモさんは〈稼ぎが安定している〉というプラスαの好条件も乗っかっているため、〈結婚して子どもが欲しい〉という目標から逆算すると、彼と付き合うことは理に適っていると考えられるわけです。しかも、マトモさんは智美さんに好意を寄せ、デートにも誘ってきている。この波に乗っかっていけば、交際への道も険しいものではなさそうです。


 目標から逆算して考えれば「付き合うべき」という結論になるのに、なぜか身体は拒否反応を示している。しかし、その原因はもしかしたら取るに足らないことかもしれないし、このチャンスを逃したら後悔するかもしれない。このモヤモヤした気持ちさえ割り切ることができれば、マトモさんとの幸せな未来が待っているような気もする。でも、本当にそれでいいのか──。これが智美さんの現在地です。


 なぜ、智美さんは「割り切る」ことができないのでしょうか。この理由を考えるうえでも、鍵になるのはクソメンです。智美さんは、自分のことをキープしてきた既婚者のクソメンと過ごした時間を、〈やっぱり超楽しい……〉と感じたと書いています。ここからわかるのは、「クソメン(クソメン要素がある)→楽しい」という図式が智美さんの中にあることです。そしてこの図式では「クソメン要素がない人→つまらない」と振り分けられるため、クソメン要素を持たないマトモさんは圧倒的に不利になります。マトモさんと付き合うことは、楽しさを諦め、退屈を受け入れなければならないことのように感じられてしまう……。これが「割り切る」ことのできない理由だと考えられます。


 我々はここで、「ダメな男ほど魅力的」とか、「結婚するには普通が一番」といったことを諭したいわけではありません。考えたいのは、なぜ智美さんはクソメン要素があると楽しく、クソメン要素がないとつまらないと感じてしまうのかということです。クソメン要素によって生じる楽しさとは、いったい何なのでしょうか。それを押さえることができれば、解決への道が見えてくるはずです。



なぜクソメンは〈超楽しい〉のか



 改めてクソメン要素を振り返ってみると、それらは〈すぐ泣く〉〈連絡くれない〉〈キープしてくる〉といった要素でした。これを智美さんの側から捉え直すと、「問題」があったと見ることができます。一方のマトモさんには、問題が取り立ててありません。一般的なイメージからすると問題がないほうが楽しそうに思えるはずですが、智美さんは問題があるクソメンこそ〈超楽しい〉と言っている。これはどう解釈すればいいのでしょうか。


 問題という言葉を辞書で引くと、解決すべき事柄、困った事態、課題、問い……といった意味が出てきます。つまるところ問題とは、「立ち向かうべきこと(または、立ち向かわざるをえないこと)」だと言えるでしょう。そしてここがポイントなのですが、問題に立ち向かっているとき、その人の脳みそは活性化され、平常時よりもテンションが上がり、軽い興奮状態になります。ゲームやギャンブルをしているときのことを思い浮かべるとわかりやすいかもしれません。クソメン要素によって生じる楽しさとは、これと同種の、問題に立ち向かっている際に生じる楽しさなのではないかと我々は見ています。



“スタティックな関係”と“ダイナミックな関係”



 クソメンと恋愛関係になると絶えず問題が生じるため、智美さんの内面はジェットコースターのように乱高下しますし、実際に問題を解決するためのアクションを起こさざるを得なくなります。この関係は非常に動的(ダイナミック)です。一方のマトモさんとの関係では、智美さんの内面は揺れ動かず、解決のためのアクションも起こさなくてよいため、全体が静的(スタティック)になります。


 多くの場合、恋愛はダイナミックな関係です。智美さんにとってマトモさんとの付き合いは、恋愛というにはあまりにダイナミズムが少ないため、「この人でいいのかな?」という不安が残るのだと思います。これは身体が発している危険シグナルとも言えるので、「結婚という目標のためなら……」などと無視すべきではありません。恋愛や結婚に限らず、楽しくない関係を続けるのは荒野を歩き続けるようなものでしょう。


 そう考えていくと、ポイントになるのは「マトモさんとの“スタティックな関係”を“ダイナミックな関係”へ移行できるかどうか」ということになります。結論を先に述べると、「できる」というのが我々の見解です。ただしそのためには、智美さんが姿勢や認識を変化させる必要があります。


 少し厳しい言い方をすると、現状における智美さんの態度は一貫して「受け身」です。例えばクソメンとの関係が〈超楽しい〉のは、向こうから勝手に問題を起こしてくれたからです。たとえるならば、問題を順に提示してくれるテレビゲームをしたり、遊園地やテーマパークでアトラクションに乗ったり、テロップだらけのバラエティー番組を観たりするようなものです。智美さんが能動的にならずとも、クソメンは「これが立ち向かうべき問題ですよ」「ここが盛り上がるところですよ」と教えてくれていたわけです。一方、マトモさんの場合は向こうから問題を起こしてくれるわけではないので、クソメンのときと同じような受動的態度でデートに臨んでも、智美さんが期待する〈超楽しい〉がやってくることがないのは当たり前とも言えます。




 そもそも、マトモとはなんなのでしょうか。〈メンタルが健康〉〈優しい〉〈稼ぎが安定している〉というのは、マトモさんのほんのイチ部分に過ぎません。たった2回会っただけで、「クソメン要素がない→マトモ」と見切った気になるのは、やや早計というものでしょう。どこにも歪みのない人なんているわけがありません。また、恋愛は価値観も考え方も経験も異なる他人同士が一緒に過ごす場なので、その関わり合いの中で問題が起きないわけもありません。問題がない人なんていないし、問題のない恋愛もあり得ないのです。


 だとすると、智美さんがやるべきことはひとつです。それは、「自分から能動的にマトモさんに関与していき、マトモさんとの間に問題を発見していく」ということです。これは「ワガママを言って彼を困らせよう!」とか「駆け引きをして彼を試してみよう!」といった話ではありません。そうではなく、積極的に関与することで多様な反応や感情を引き出すということです。その結果として、ひとりの人間としてのマトモさんの個性が見えてくるはずです。



自分から関与してみて、それでもダメなら諦める



 では、具体的にどうすれば“ダイナミックな関係”を築くことができるのか。最後に、そのための具体的なアイデア(アクション)を提案してみます。


・過去の恋愛について語ってみる

・彼の好きな映画を一緒に観てみる

・仕事や家庭環境の話をしてみる

・彼の地元で会ってみる

・彼の友だちを交えて会ってみる

・一緒に山登りしてみる

・ふたりで酔っぱらってみる

・1回セックスしてみる



 例えば、こんなアクションを起こしてみるのはいかがでしょうか?


 過去に感情を大きく揺さぶられた体験や、時間や労力を費やしてきた仕事や趣味には、その人の内面が色濃くにじみ出ます。また、慣れ親しんだ場所や近しい友人と一緒にいるときの彼が、それまでに見せなかった一面を見せることもあるでしょう。さらに、理性を取っ払って大胆な行動にトライしてみる、なんてことも大いにアリだと思います。大切なのは、相手を掘り下げて、同時に自己を開示していくという姿勢です。


 もちろん、こういったアクションを起こしたからといって、必ずしも“ダイナミックな関係”が生まれるというわけではありません。相手が自己開示してくれない場合もあるでしょうし、興味関心の方向性があまりにズレているとわかることもあるでしょう。能動的に臨んだうえで気持ちが盛り上がらないならば、無理することはありません。「この人には揺さぶられないし、私もこの人を揺さぶれない」と結論づけて諦めるのみです。


 しかし、もしも諦めることになっても、それは決してムダなことではありません。少なくとも現在のモヤモヤは晴れるでしょうし、その経験を通して人に対する勘や判断力が確実に養われていきます。その過程で自然と、クソメンかマトモかという二項対立で悩むこともなくなるはずです。


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