『一流の準備力(大和出版) 見えないところで差がつく63の工夫』
[著]中谷彰宏
[発行]PHP研究所
世の中がどんどん便利になればなるほど、手間は悪になってしまいます。
サービスがよくなればなるほど、クレームが増えます。
昔は、電気量販店に行って「お届けは明後日です」と言われても、「今日は夕方だし、明日発送で2日後。まあそんなものかな」と平気でした。
今は、「お届けは明後日です」と言うと、「エッ、今日じゃないんですか。それならやめます」「よそに頼んだら今日でしょう」とクレームになります。
「今日が当たり前で、明日は遅い」というのは、便利な社会の弊害です。
手間をかけたり、かけられるということがめんどくさく感じられるのです。
Aさんがスーツのオーダーに行きました。
普通、オーダースーツは仮縫いがあって、でき上がりまで2カ月かかります。
今までスーツをオーダーしたことのないAさんは、「いつぐらいにでき上がりますか」と聞いて、「2カ月もあればできます」と言われると、「エッ、2カ月も?」と、ビックリしました。
「2、3日でなんとかならないの?」と言うAさんに、お店の人は「それでしたら、奥の別のお店に既製品がありますから」と案内をしました。
便利な世の中に慣れると、自分が手間をかけることもしないし、手間をかけられるのも「遅い」という解釈になるのです。
愛があるかどうかは、どれだけ手間をかけているかでわかります。
その手間は、別にしなくてもいいことです。
松岡修造さんは、ファストフードが好きです。
「『くいしん坊!万才』に出ているのに?」という意外性は、さらに好感度が上がります。
注文の仕方に特徴があります。
フライドポテトは、「揚がりたてのみ」です。
お店の厨房では、揚げモノができ上がると、♪ピロリンピロリンという音が鳴ります。
その合図が鳴ってから、「それ下さい」と注文するのです。
松岡修造さんはハンバーガーを3つぐらい食べます。
それも、「できたてを食べたいから」と、1個ずつ注文します。
二流の人は急ぐので、「もうできているものがいい」となります。
待たない方がいいというのは、時間的に追い詰められている状態です。
調理したものは、できたての方が圧倒的においしいです。
できたてをすぐに食べたいと思うと、待たなくてはなりません。
待つということは、できたてが食べられるということです。