読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
-1
kiji
0
1
1145950
0
他人の目を気にしない技術(大和出版)
2
0
0
0
0
0
0
生き方・教養
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
おわりに

『他人の目を気にしない技術(大和出版)』
[著]諸富祥彦 [発行]PHP研究所


読了目安時間:6分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ

「他人が主人公の人生」から、「自分が主人公の人生」へ




 私は、“孤独力”という言葉をキーコンセプトにして“ひとりでいる時間”を大切に生きていこうと呼びかけてきました。


 というのも、人は、ゆったりと自分だけのために“ひとり”でいることのできる時間を持つことではじめて、自分のこころの声に耳を傾けることができるからです。自分のこころのメッセージを聴いて、自分のほんとうにしたいこと、ほんとうに求めているもののために、時間とエネルギーとを使って生きていくことができるようになるからです。


 けれども残念なことに、私たち日本人にはまだまだ、こうした贅沢な時間の使い方が苦手な人が多いようです。いつも“何かのため”“誰かのため”と忙しく過ごすことが充実した人生だと勘違いしてしまいがちです。そして、そうこうしているうちに、いったい自分が何をしたいのか、ほんとうは何を欲しているのかさえも、わからなくなってしまいやすいのです。


 日本社会は経済的には、もう成長期を終えて成熟期に入っています。にもかかわらず、一人一人の生き方は、まだなお“より多く”“より速く”という効率主義のままで、“より深く”“より味わい深く”という成熟した生き方への脱皮はままなりません。このままでは、ほんとうの意味で成熟した社会だと言えるのは遠い日のことにならざるをえないようです。


 本書のテーマ“他人の目を気にしない技術”とは、この“孤独力”“ひとりを楽しむ力”を構成する基本的なスキルです。


 他人の目ばかり気になって仕方ない人は、孤独になること、ひとりでいることに強い不安を覚えます。他人からどう思われるかが気になるあまり、ひとりになって、自分の心の声に耳を傾け、それに従って生きていくことができなくなっているのです。

“他人の目を気にしない技術”。それは、言い換えれば、人が、自分らしく生きるための技術です。他人に嫌われるのを恐れてビクビクしながら生きるのをやめて、自分が自分の人生の主人公となって生きる技術です。よい意味で自己中心的に──自分を人生の中心に置いて──生きていくための技術といってもいいでしょう。


 本文中でも書きましたが、私がこの技術を身につけたのは、青年期のあるときでした。


 それまで、他の人から拒否されることばかり恐れ、他人から愛されよう、好かれようと他人の目に映る自分の姿ばかり気にかけて、不安だらけの人生を生きてきた私。


 他人の目が気になるあまり、緊張が強くて、小学校低学年の時は緘黙(教室の中に入った途端、一言も話せなくなるのでした)、チック(顔をいつもピクピクさせていました)、吃音(いわゆる、どもりです)の三重苦を抱えていました。


 そんな私が、しかしあるとき、このままではいけない、と奮起して、毎日毎日、自分に次のように言い聞かせ始めたのでした。

「他の人からどう思われても、かまわない」

「他の人から嫌われても、かまわない」

「俺には、俺の、人生がある」

「私には、私の、なすべきことがある」

「私は、他の人から好かれるために、生きているわけではない」


 こんな言葉を毎日、何千回も──時には町ですれ違う人をにらみ付けながら──こころの中で唱えることで、私は、他人の目がまったく気にならなくなっていったのでした。


 本書では、カウンセリング心理学の理論と技術に基づいた、より効果的な方法をいくつも紹介しています。


 私がここで言いたいのは、そうして自分が変わる前と、変わった後とでの、日々の生活のあまりの違いの大きさについてです。


 それまで、他の人の目ばかり気にしてクヨクヨしながら生きていた。自分が生きているにもかかわらず、自分の人生の中心は自分ではなかった。人生の主人公は親であり、友人であり、教師であって、そうした人に気に入られることが価値あることだと思って生きてきた。いつも他人の評価ばかり気にして、心の中は不安でいっぱいだった。


 それがどうでしょう。


 この荒療治で変わった後の人生の、何と、すがすがしいことか。

「俺には、俺の、人生がある」

「私には、私の、なすべきことがある」

「私は、他の人から好かれるために、生きているわけではない」


 つまり、「私の人生の主人公は、ほかならない、この私自身である」という感覚。


 その感覚が、からだ中に、ジワーッと染み渡るように広がってきて、このときから、自分の人生がほんとうの意味でようやくスタートしたことをからだで実感したのでした。


 この体験から、私は、確信したのです。


 人生には、たった、二種類しかない。


 つまり、自分が自分の人生の主人公となって生きる人生と、他人を主人公として生きる人生の二つしかない。


 あるいは、“自分”を生きる人生と、他の人からどう思われるか、そればかり気にして生きる不安だらけの人生の二つしかない。


 この二つしかない、と私は、ハッキリわかったのです。


 そして、多少厳しい言い方をすれば、後者の人──つまり、他人を人生の主人公として生きている人──は、実はまだ、人生を生きているとは言えない。その人の人生は、まだ、始まっていないに等しいのです。


 せっかくこの世に生まれてきたのだから、他の人からどう思われるかを気にしてビクビクしながら生きるのはもうやめて、自分が自分の人生の主人公となって生きていってほしい。私は、この世に生まれてきたすべての人に対して、こころの底から、そう願っています。


 私自身かつて、他の人からどう思われるか気にしてばかりいたので、その生き方をやめると人生がどれほど大きく変わるか、どんなに心地よく、すがすがしく、充実したものになるか、身にしみて知っているからです。


 本書をお読みになった方が少しでも、他人が主人公の人生──他の人の目ばかり気にした不安だらけの人生──から、自分が人生の主人公となった人生──自分がほんとうにしたいこと、なすべきことに邁進する人生──へと、生き方を変えていけますように。


 そのことを心からお祈りして、本書を閉じさせていただきます。



*人が、より自分らしい人生を生きるための、心理学のワークショップ(体験的な学習会)をおこなっています。

●本書で紹介したさまざまな心理学の方法は、次の研究会で学ぶことができます。どなたでも参加可能です。私のホームページ(http://morotomi.net/)で内容をご確認のうえ、お申し込みください。


気づきと学びの心理学研究会〈アウェアネス〉事務局

〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台1‐1 明治大学14号館6階B611

「気づきと学びの心理学研究会事務局」

問い合わせ・申し込み先 Eメール:awareness@morotomi.net

この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:0文字/本文:2735文字
      この記事を収録している本
      レビューを書くレビューを書く

      今レビューすると30ポイントプレゼント! 今レビューすると15ポイントプレゼント! 犬耳書店で初めてのレビューはさらに30ポイント! ポイント詳細はこちら

      この本の目次