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(2021/11/26 追記)

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なぜあの人はいつも助けてもらえるのか
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1|感情を表に出そう

『なぜあの人はいつも助けてもらえるのか』
[著]藤巻幸大 [発行]PHP研究所


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日本人ほど感情表現下手な国民はいない

 どうも日本人は感情を表に出してはいけないという考え方が強いようです。でも僕はやっぱり感情は大切にしたいし、どんどん表に出して行っていいと思う。上手に自己表現をする人がいろんな人に可愛がられることにつながると。

 僕が伊勢丹からバーニーズに出向した時に感じたのは、とにかくバーニーズの面々は自分を主張していることでした。ファッションから食べ物、時間の使い方から考え方まで、それぞれが自分流を貫いていた。

 その中で喜怒哀楽も実に素直に表現するんですね。ですから時には周囲とぶつかったり摩擦が起きたりしますが、彼らはそれが当たり前。自分を殺して周囲に合わせるなんてことは、選択肢に最初からないんです。

 正直、最初僕も面食らいました。こりゃ、やっていけるだろうかって。でも、慣れてくると逆に非常に居心地がいいんですね。皆がお互いに感情や感性を隠すことなくオープンにしていますから、とても分かりやすいしシンプルなんです。

 で、何と言ってもチャーミングでしょう。ストレートに喜怒哀楽を表すわけですから、何とも言えない愛嬌さえ感じるようになります。そういう意味で外国人は表情が豊かですね。話していても彼らの表情はじつによく変わる。それを見ているだけで楽しくなってきます。

 対して日本人はこれまたとくに感情を表さない人種です。いまどんな感情を抱いているのか? なかなか表には見えてこない。本来、日本人の感性は非常に繊細で感情も豊かなはずです。それは文学や芸術の歴史を見れば言うまでもないでしょう。

 言語だって感性や感情を表す言葉はじつに豊富です。そんな感性も感情も豊かな日本人が、こと感情表現に関しては(はなは)だ貧しいのは奇妙な感じさえします。

 おそらくこれは島国に住む人だけが持っている同質性と関係があるのではないかと思います。お互いとくに強く自分を主張しなくても相手に伝わるという安心感。それから農耕民族的な価値観から来る、お互いの空気を読んで場を大切にする気持ち。そんな特殊性が関係しているのではないかと推測します。

 しかし、これからはもっとグローバルな社会になって行くわけですから、自分の感情を表に出してコミュニケーションを取る機会も増えるでしょう。自分を理解しやすく相手にアピールすることで、好かれたり可愛がられたりすることに繋がっていくと思います。

 どうも自分を出すと嫌われるんじゃないかと、勝手に思い込んでいる人が多いような気がします。とくに僕が感じるのは若い世代の人ほどそう。もちろん、わがまま勝手で周囲に迷惑をかけてしまうような人物は別ですが、普通の感覚と常識を持っている人なら、臆せず自分を出した方が可愛がられるはずです。

グッド・ファイトがいい結果を生む

 自分を出す、感情を出すということは当然相手とぶつかることにもなります。それが嫌で自分を押し殺すのではなく、思い切ってぶつかってみる。それがむしろ相手との関係を深めることもあるのです。

 英語でグッド・ファイトという言葉があります。いい喧嘩、建設的な戦いとでも言うのでしょうか? 僕がバーニーズで仕事をしている時、周りでそんなグッド・ファイトをよく見ました。

 ただし彼らはそうやって激しくぶつかっても、尾を引いたり陰湿に陰に回って何かやるようなことはありません。じつにサバサバしているんです。

 そんな洗礼を浴びている僕は、日本に戻ってきてからいくつかグッド・ファイトをやらかしたことがあります。当時帰国したばかりの僕は、やはり向こうの感覚が抜けきらない。どうも日本人との付き合いよりも、サバサバと自己主張をする外国人の方が付き合いやすいんですね。で、外国人ばかりとつるんでいたら、当時の上司に強く注意をされました。

 海外から帰ったばかりの若僧でしたから、まさに若気の至りでしたが、僕の個人的な付き合いまで云々(うんぬん)される筋合いはないと。その時は相手は上司でしたが反抗しましたね。そんな風に自分を主張する若い奴はほとんどいませんでしたから、上司も面食らったと思います。

 そのあと伊勢丹の空きスペースで、無名の若いデザイナーを集めた売り場「伊勢丹解放区」を立ち上げた際も、部長や役員、社長を説得するのに、自分の気持ちや感情をストレートにぶつけました。もちろん、なぜ「解放区」なのか? 世の中のトレンド、消費者の嗜好(しこう)などの理論武装はしっかりとしましたが、それだけではダメ。やはりそこにかける情熱や思いが伝わったからこそ、あのような思い切った企画が通ったのだと思います。

黒いスーツではなく明るいスーツを着よう

 結局、感情を前に出すことは個性を明らかにすることなんです。けっして恥ずかしいことじゃない。日本人はそういう意味で感情を表に出さず、自分を殺すことにすっかり慣れてしまった感があります。個性を押し殺して生きるなんて、そんな人生にどれだけの意味があるのでしょう?

 感情とか個性って、「色」にたとえられることが多いですね。「自分の色を出す」って、まさに個性を意味する。あるいは「色をなす」とか「気色(けしき)ばむ」という表現の「色」は「感情」を表していますよね。

 色と感情、色と個性ってとっても関連性があると思います。ファッションや流通の分野で仕事をしていたこともあると思いますが、僕は、色味(いろみ)あるものが大好きなんです。

 いまの日本や日本人って、「色」を失ってしまったような気がするのですが、どうでしょうか? ビジネスマンのスーツなんて、いまやグレーか黒ばかりでしょう。とくに気になるのが新入社員たちが揃いも揃って真っ黒なスーツに身を包んでいること。

 あれを見るたびに「僕たち、私たちは自分の感情や個性を殺して、会社のために尽くします」って忠誠を誓っているみたいで、僕は気分が悪くなってしまいます。せっかく社会に出て、会社に入ったわけでしょう。たくさんの希望と夢を抱いているならば、もっと明るい色のスーツを選んだらどうでしょう? それとも彼らには潜在的に社会や会社が夢も希望もない真っ暗なところだという意識があるのでしょうか?

 いずれにしても会社が黒いスーツを着ろと決めているわけじゃないはず。だとしたらもっと明るいスーツを選んでみたらどうでしょう? 着るものから気分や意識って変わってくると思いますよ。

感情を出して嫌われる人と好かれる人

 ここで大事なことは、感情を表に出して好かれる人と嫌われる人の二通りあるということ。ただ自分の感情を出せばいいというものではない。そこには自ずとルールがあるんです。

 まず失礼な言動や態度は絶対にしないことです。感情を表に出すことは感情をそのままぶつけることではなく、相手に自分の思いを伝えるということです。とくに怒りの感情を表すあまり相手に対して敵対的な態度や言動を取ったら、向こうも面白いはずがありません。こちらを理解するどころか、相手は心を閉ざしてしまうでしょう。

 感情を表に出す時こそ冷静に言葉を選ぶ。行き過ぎた表現をしない。それができなければ情緒不安定な人物という烙印を押されかねません。社内でそのような烙印を押されたら、それこそビジネスマンとしては致命的です。

 一番いい方法をお教えしましょう。それは自分が役者になったつもりで、怒っていることを演じる感覚でやること。どこかで自分を見つめるもう一人の自分がいるというように。

 それには映画や演劇、舞台などを見る。すると役者たちはさまざまな喜怒哀楽の感情表現をしています。そういうシーンをたくさん頭に入れておけば、自然と自分の感情表現も豊かになるし、上手に喜怒哀楽を相手に伝えることができると思います。

 やっぱり上手に喜怒哀楽が出せる人というのは好感度が高い。僕自身、若い人たちと付き合っていて、こちらの投げかけたことに感情を素直に出してくれる人に好感を持ちますよ。

 そういう人たちの特徴は普段からけれんみがないというか、表裏がないですね。だからこそ感情を出しても嫌味がないし、むしろ(さわ)やかで好感につながる。

 逆に普段何を投げかけても反応がいま一つだったり、無表情だと、「何を考えているのか?」と不審に思う。そういう人が突然感情を出したりすると、かえって逆効果。それこそ情緒不安定の烙印を押されてしまいます。
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