『ついに「愛国心」のタブーから解き放たれる日本人』
[著]ケント・ギルバート
[発行]PHP研究所
前章で、『万葉集』を編纂した大伴家持のことを紹介しましたが、日本人が忘れてはならないのは、彼が「海行かば」の作者でもあるということです。
海行かば 水漬く屍
山行かば 草生す屍
大君の辺にこそ死なめ
かへり見はせじ
これは、『万葉集』巻十八「賀陸奥国出金詔書歌」(陸奥国より金を出せる詔書を賀ぐ歌)という長歌の一部ですが、昭和十二年(一九三七)に信時潔がメロディーをつけた歌が、大東亜戦争中には広く愛唱されました。