『ついに「愛国心」のタブーから解き放たれる日本人』
[著]ケント・ギルバート
[発行]PHP研究所
また、戦後も皇室を守ろうとした数少ないアメリカ人の一人に、ジョセフ・グルー元駐日大使がいます。戦前、日米開戦を止めようと奔走したグルー大使は、日本人の天皇陛下に対する強烈な敬愛の意味をよく理解していました。彼はそれを「信仰」と表現しましたが、その意味は、大東亜戦争を「狂信的な宗教戦争」としか捉えられなかった多くのアメリカ人のそれとはまったく違っていました。
グルー氏は、天皇は廃位されるべきとの考えも強かった当時の国務省内で、日本人には自らの政体を選ぶ権利があると主張しました。国務次官となった一九四四年末には、天皇を「女王蜂」にたとえ、「もし、群れから女王蜂を取り除けば、巣全体が崩壊するであろう」とし、天皇は戦後の日本の「唯一の安定」要因であるから維持すべきだと主張したのです。