『「安らぎ」と「焦り」の心理(大和出版)』
[著]加藤諦三
[発行]PHP研究所
欲求不満者は人を物として見なす
たとえば社会的に思うようにいかないで欲求不満になっているとする。会社で自分はもっと出世すべきなのに、と不満になっている人がいる。その時その人は、誰かが会社の上役を人を見る眼がないといって非難すれば、その人を愛する。いや愛するというより必要とする。そして、その上役の悪口をいった同僚を愛していると錯覚する。彼はその同僚の言葉によって自分の精神的バランスを回復するのである。
あるいは自分の同僚の出世をねたんでいれば、その出世している人を、あいつはゴマスリがうまいといってくれる他人をその人は必要とする。あいつは上役にゴマスリがうまいという言葉によって、その人は自分の精神的バランスを回復する。