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(2021/11/26 追記)

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考える力をつける9つのステップ
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5-1 破れない壁は飛び越えよ!──行き詰まったときの「飛躍発想」

『考える力をつける9つのステップ』
[著]本田有明 [発行]すばる舎


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オズボーンのチェックリストとは


 第三の視点は、トレーニングを重ねることで少しずつ獲得できますが、感性をともなう発想の次元では、別のアプローチも必要になります。コンピュータを動かす基本になっているブール代数は、ANDとNOT、それにORがキーワードになっています。

 斬新な発想が求められる分野では、このORをどれほど思いつくことができるかが重要になります。論理思考だけでなく、発想の飛躍が求められるわけで、私はこれを「飛躍思考」と名づけています。代表的な手法としてはブレーン・ストーミングがあげられるでしょう。

 ひとつのテーマで思い浮かぶものを数多く出し、それによってユニークなアイデアを得ようとするものです。文字どおり頭(ブレーン)に嵐(ストーム)を起こし、ふつうでは思いつかないような妙案を引き出すわけです。

 何人かのメンバーが集まって会議形式で行なうことが多く、おもに新商品の企画や、難度の高い問題解決などに活用されます。質より量を求める、批判はしない、自由奔放に行なう、便乗発想も大歓迎など、楽しい雰囲気のなかで相互に創造性を刺激し合うのが特徴です。

 これを考案したのは、アメリカの広告会社役員アレックス・オズボーン。一九三〇年代に開発されて以来、古典的な技法として人気が高く、いまも広く活用されています。

 ブレーン・ストーミングとともに有名なのが、アイデアを生み出すためのヒント集「オズボーンのチェックリスト」です。こちらのほうは九か条の簡単なリストで、次のように表現されています。

 ①ほかに使い道はないか(転用)

 ②ほかからアイデアを借りられないか(応用)

 ③変えてみたらどうか(変更)

 ④大きくしてみたらどうか(拡大)

 ⑤小さくしてみたらどうか(縮小)

 ⑥ほかのもので代用できないか(代用)

 ⑦入れ替えてみたらどうか(置換)

 ⑧逆にしてみたらどうか(逆転)

 ⑨組み合わせてみたらどうか(結合)

ポスト・イットは「転用」の代表例


 このチェックリストは、一見どうということもない内容ですが、じつはとても(はん)(よう)(せい)の高いヒント集です。

 たとえば、みなさんが使っているポスト・イット。これははじめから()(せん)として開発されたものではありませんでした。アメリカの化学メーカー3M社の研究員が、強い接着剤を開発しようとしていて偶然できてしまった、ひじょうに接着力の弱い薬品を、同僚の発案でほかに転用したものです。

 接着剤としては使いものにならないけれど、転用すれば、本のしおりなどに使えるのではないか。研究員の同僚はそう考えました。さっそく試供品をつくって近隣の会社に配ったところ、評判は口コミで広がり、三〇年後のいまでは一〇〇か国以上の国々で流通する超ヒット商品になったしだいです。

 偶然の作用が大きな成果につながったとして、この開発事例は「セレンディピティ(偶察力)」の典型としてよく引用されます。しかし、オズボーンのチェックリストの第一条にある「転用」を試みることがなければ、接着力の弱い接着剤など単なる失敗作として葬られていたでしょう。

 困った事態に遭遇したときは、「困った困った」と頭をかかえるのではなく、ちょっと視点をずらし、第三者の目で見つめなおしてみることが大切です。「さて、ここは例のチェックリストを活用してみましょうか」などと、自分に語りかけてください。

苦情をアイデアに変えるシンプルな方法


 もうひとつ、今度は日本の例を。

 ある(がん)()メーカーでは、顧客からの苦情が多いことに悩んでいました。商品は子ども仕様のものですから、大きくしても小さくしても、あるいは形状をさまざまに変更しても、苦情は尽きません。「抜本的な解決策」はないものかと社員たちは考え、ブレスト(ブレーン・ストーミング)を重ねました。

 オズボーンのチェックリストも参考にしたところ、ある社員がこんなことを言いました。
「要するに、苦情という言葉をなくしてしまえばいいんですよね?」

 どういうことかと上司が尋ねると、
「『③変えてみたらどうか』でいくんですよ。苦情をアイデアに変えてしまえば問題ないわけでしょう?」

 すべての商品に「お客さまのアイデアを募集します」と書いた案内をつけて、採用分には謝礼を進呈してはどうか、というのが彼の考えでした。オズボーンのリストには「②ほかからアイデアを借りられないか」という項目がありますが、これを文字どおり実行してしまおうという発想だったのです。

 結果として、苦情は激減しました。「商品が大きすぎる」という苦情は「もっと小さくしてほしい」というアイデアに、「取っ手が持ちにくい」という苦情は「もっと持ちやすい形にしてほしい」というアイデアの提案に変わったからです。

 ただの言葉遊びじゃないか、と感じた方もいるでしょう。しかし、この発想の転換によって、次の商品開発につながるヒントも顧客から寄せられるようになったのですから、効果はひじょうに大きかったといえます。

 行き詰まったときは、発想の飛躍を試みてください。その際の心がまえとして、創造性開発の研究者ロジャー・フォン・イークの「一〇の戒め」を紹介しておきましょう。それは次のような考え方です。

 ①物事の正解は一つだけではない、②何も論理的でなくてもいい、③ルールを無視しよう、④現実的に考えようとするな、⑤あいまいのままにしておこう、⑥間違えてもいい、⑦遊び心は軽薄ではない、⑧「それは私の専門外だ」というな、⑨ばかげたことを考えよう、⑩「創造力」は誰でももっている。

 全米で三〇〇万部を超えるベストセラーとなった『頭にガツンと一撃』(城山三郎訳 新潮社)から。ガチガチの論理思考だけでは超えられない壁にぶつかったときには、とても参考になる「やわらかな発想」です。

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