「世の中では、人をほめる際に“あの人はよくできる”という場合と“あの人はよくできた人だ”という場合がある。わずか一字のちがいだが、その意味は相当に違う」(向坊東大総長の55年入学式における説示)
東大総長の入学式や卒業式、あるいは開学記念日のあいさつが、よく新聞にとりあげられる。戦前では、小野

喜平次博士の「東大卒業生が人に誇り得るものは何か? それは、日本語以外に外国語を何か一つマスターしていることである」とか、戦時中では平賀譲博士が、くりあげ卒業の学生たちに「ひとまず、家郷に帰って、一日でもよい、父母に孝養せよ」と述べたことは、当時、評判だった。