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「勘・人・帖」ということばを、財界産業界の間でよく聞く。音からいうとカンジンチョウなので、はじめは弁慶の勧進帳かと思った。字面を見て、なるほど、これはうまいことばだなと思った。
はじめてこのことばに接したのは、三年ほど前、パレス・ホテルで開かれた日本経営合理化協会でのパネル・ディスカッションの時であった。レジメにこのことばが記され、「80年代を生き抜く道」と書いてある。その時は、そのまま、気にかかりながら見すごしたが、だんだん考えているうち、これは、短いけれどもズバリだなと思った。名言というのは、時間に洗われて輝きを増してくるものである。
私なりに、この注解を試みてみたい。