以前、相撲の本をプロデュースしたとき、当時の横綱審議委員会委員長の高橋義孝さん(故人)が私にこういってきたことがありました。
「横綱が人一倍稽古をしなくてはいけない理由をあなたはご存じですか?」
返答に困った私は、苦し紛れに、「それは角界の看板力士だからでしょう」とあいまいに答えたのですが、「それも、ありますがね……」と前置きした後、こう教え諭してくれたのがとても印象的でした。
「横綱になるとね、ものすごい責任感や重圧感が押し寄せてくるんです。それがプレッシャーとなって本来持っている力を半減させてしまうんです。