超老人は若者が好きだ。若者の可能性について、超老人はとことん性善説を信じる。一見何もできなくて自信を失ったかのように見える若者でも、必ずその人固有の才能がある。ただそれは隠されているだけだ、と。超老人の重要な使命は、その隠された才能をいち早く見抜き、その発掘作業を始めることだ。
ぼくは東京都立大学物理学科で三三年間勤めた。つまり、人生の半分以上を、二〇代前半の学生とともに歩んできたことになる。その間、研究室や運動部の学生を合わせると、ぼくのまわりには、いつも三〇人くらいの学生たちがいた。この若者集団は、毎年、新入生と卒業生の交代があって、いつも新鮮な雰囲気に包まれていた。