読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
-1
kiji
0
1
1157105
0
学校では教えない 徹底網羅! お金儲けのトリセツ
2
0
0
0
0
0
0
ビジネス
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
【常 識】プロスペクト理論でお金に対する心理を知る

『学校では教えない 徹底網羅! お金儲けのトリセツ』
[著]水野俊哉 [発行]PHP研究所


読了目安時間:5分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ


 ともにイスラエル出身のアメリカ人の心理学者、ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーは生涯にわたる友人であり共同研究者だった。

 彼らが終生強い関心を持ち続けた人間の心理についての研究は、後に「行動経済学」と呼ばれるようになり、カーネマンは「プロスペクト理論」でノーベル経済学賞を受賞した(受賞時トベルスキーは、すでに死去)。

 彼らの研究テーマは、「人のお金に対する反応や行動決定の理論」である。

 行動経済学史上最も重要であり有名なプロスペクト理論で明らかにしたのは、
1 人はお金を得した時よりも、損した時に感じる感情が2倍以上も強い(損失回避性)
2 人が金額や値段について判断する基準は絶対的なものでなく相対的なものである(アンカリング効果)
3 人は絶対(100%とか0%)に強い反応を示す(確実性効果)

 というものだった。

 1の損失回避性というのは、100万円をもらった時のうれしさよりも、100万円を落とした時のショックのほうが2倍以上も大きい、と考えてもらうとわかりやすいだろう。

 このことをグラフで表したのが図1−1の「価値関数」である。



 また、100万円もらえるはずだったのに、20万円しかもらえなかった時、多くの人は80万円損したように感じるものだ。

 しかし、経済学の前提でいえば「20万円お金が殖えている」のだから合理的に考えると得をしているはずである。ところが、「100万円」という金額がアンカリングされているため、相対的に80万円損したような気になってしまうのだ。ちなみにアンカーとは船の錨のことであり、専門的には「アンカリングと係留効果」という。

 例えば小学生にとっての100万円はとてつもない大金だが、資産1億円の人からすると100万円お金が殖えても、さほど変化を感じなくなっている。つまり知覚と同じようにお金もある一定レベルの収入や資産に慣れてしまうと、金額ではなく基準値からの変化に敏感に反応するようになるのだ。だから一度、ぜいたくな暮らしに慣れてしまうと、アンカリング効果により、収入が下がってもなかなか生活レベルを落とすことができないのである。

 最後の確実性効果は、以下の問題を考えてみてほしい。
【質問1】
A 確実に30万円もらえる。
B 40万円をもらえる確率が80%、20%は1円ももらえない。

 あなたはAとBどちらを選ぶだろうか?

 これは多くの人がAを選ぶ。ただし、次の場合はどうだろう?
【質問2】
A 確実に30万円を失う。
B 40万円を払う確率が80%、1円も払わなくていい確率が20%。

 今度は、Bを選ぶ人が多くなるはずである。実は先ほどの問題でAを選んだのであれば、今回の問題でもAを選ぶのが「合理的な一貫性」がある考え方なのだ。

 ところが多くの人は前者では「確実」にリターン(利得)を確保したがり、後者では「確実」なリスク(損失)を回避しようとする。だから、競馬やパチンコで負けが込んでくると、損を取り返そうと無謀な勝負に出やすいのだ。

 こうした人のお金についての反応は、直感的には理解しやすいと思うのだが、従来の経済学の常識では、人間を「合理的な経済人(ホモ・エコノミクス)」として見なしてきたため、判断がコロコロ変わるような研究結果(「選好の逆転」という)は起こらないとされてきた。

 ところが今や「心理学者」が発見した、人のお金に対する反応は世界中でさまざまな研究結果が発表されており「行動経済学」や、その発展系である「神経経済学」は一大ジャンルになってきている。

 つまり、本気でお金儲けをしたいと思うのなら従来の経済学だけでなく、人間の心理についての最新の研究結果についても知るべきであろう。

 あなたが資産運用をファイナンシャルプランナーやお金の専門家に相談すると、「年齢や収入、職業によって計算されたリスク許容度」に応じて「投資信託や生命保険、国債」などの金融商品をすすめてくれるに違いない。

 また、書店のお金儲けの本も、「株式投資」「不動産」「FX」「起業」など「儲け方」についての本ばかりである。

 ところが大事なのは「儲け方」の種類ではなく、儲けようとしている本人の心理状況が無視されていることにある。


 次の図1−2を見てほしい。これは「プロスペクト理論」を基に作成した「お金儲けのマトリックス」である。

 人はお金に関してプラス(利得)になることが起こる可能性が高いと、リスク回避して確実に儲かる方向を選択する傾向があり(Aの位置)、お金に関してマイナス(損失)の出来事が起こる可能性が高いと、それを避けるために、リスクの高い行動に出やすい(C)。



 前出の質問で言うと、質問1がAの位置にあたり、質問2がCの位置にあたる。

 つまり資産が多い人は安全な投資を好み、借金が多ければレバレッジをかけたFXなどに魅力を感じてしまうのだ。

 また、株式投資で「損切り」がなかなかできなかったり、不動産で含み損を抱えた物件を売却できない理由も、損失が確実視されるとリスク回避の行動を選択すべきなのに、「また値上がりする」という一発逆転を期待する心理が働くためであり、このマトリックスで説明できる。

 お金がある時にリスクを回避したがるのは特に問題はない。大事なことは、お金がない時ほど人は、勝つ確率の低い一発逆転の儲け話に興味を示しやすいと知ることである。

 これは人間の心理であり、誰でも状況次第で判断が変わってしまう。

 現実的には、余裕資金がある人はある程度リスクを負っても構わないし、お金がない人は絶対に資金を減らしてはいけないのだ。

 後述するが、勝負資金がたまるまでは本業に打ち込みながら、節約、倹約し、FX、デイトレ、マルチ、競馬、パチンコ、風俗、キャバクラなどなど、余計な儲け話や浪費話には一切耳を貸さないことである。

 ダイエットに成功した人が甘いものに以前より興味を示さないように、お金持ちほどギャンブル的な投資に興味を示さない。

 お金持ちになるためには、人のリスクとリターンに対する心理傾向を知ることが大事なのだ。
この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:0文字/本文:2486文字
      この記事を収録している本
      レビューを書くレビューを書く
      この本の目次