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ミュージシャンはなぜ糟糠の妻を捨てるのか?
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エンタメ
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「これこそ神の声だ」

『ミュージシャンはなぜ糟糠の妻を捨てるのか?』
[著]細田昌志 [発行]イースト・プレス


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 世の男性の多くが、一日の大半を職場で過ごす。


 それを思えば、職場で出会った女性に恋愛感情を抱くのは、さして、不自然なことではない。結果的にではあるが、それが不倫を招くこともある。


 しかし、多くの一般男性にとって、不倫は単なる浮気として終了するケースがほとんどである。家庭を壊してまで浮気相手に執着することはなかなかないし、できない。世間体もそうだが、金銭的に大きな代償を支払うからだ。相手の女性がそこまで踏み込まないのもあるだろう。


 ただし、これが有名ミュージシャンになると、妻と離婚し、不倫相手と結婚に突き進む事例はなくはない。金銭面でクリアできることがその背景としてあるからだ。経済力が男を決断させる。反面、世間の眼の厳しさに晒されるのは、いうまでもなく一般男性の比ではない。


 人気ロックバンド、GLAYのボーカル、TERUもそんな一人である。


 TERUは、両親と三歳上の姉、四歳下の妹の五人家族の長男として、一九七一年、函館市に生まれた。本名小橋照彦。


 小中学校では野球に取り組んだ。原辰徳に憧れてポジションはサード。甘いマスクに似合わず、毎日泥だらけになって練習する姿は、女子生徒の熱い視線を集めた。目立つ存在だった。


 中学に入ると、多くの男子がそうであるように音楽に関心を持ち始めた。ビートルズに触れて、チェッカーズに憧れ、BOØWYに魅せられた。それは、彼と同年齢の筆者もよく理解できる。THE GOOD‐BYEの影響も、冗談ではなく少しはあったのかもしれない。


 高一のときには、先輩に誘われ、聖飢魔Ⅱのコピーバンドに参加している。担当はドラムス。高二になると、小学校の同級生であるTAKUROの誘いに乗り、アマチュアバンドを結成する。これがGLAYの前身となった。


 そしてこの年の八月、函館駅前の多目的スペース「あうん堂」で初ステージを踏む。ここでも当初はTERUがドラムスだったが、デモテープに吹き込んだTERUの歌声を聴いたTAKUROが、

「これこそ神の声だ」


 と腰を抜かしたことで、程なくしてボーカルに転向する。TAKUROがTERUをスターに導いたのだ。


 高校卒業と同時に上京。当初はTAKUROとともに、赤羽の凸版印刷に勤務していたがすぐに退職。多くのバンドマンがそうであるように、様々なアルバイトに明け暮れながら、ライブハウスを中心に活動する。余談になるが、工事現場でアルバイトをしていたリーダーのTAKUROは、

「安全は みんなを守る 思いやり」


 という安全標語を作って、建設会社から優秀賞をもらっている。


 TERUも工事現場や建設現場で、コンクリートを砕いたり、削ったりする「(はつ)り」作業に従事していた。印刷会社の方が確実に楽に思えるのだが、社員扱いの印刷会社より、出勤面において融通が利いたのだろう。



 TERUくんのハツリ屋という仕事は、朝6時に起きて、7時には現場に着かなければならない。打ち上げをしていると、終わるのは、たいてい朝方の3時、4時。遅くなると6時ごろになる。


 徹夜で仕事に出向いたこともあったが、

「寝ないで仕事に行くと、体がもたないから、俺は帰るよ」


 そう言って帰っていく。TERUくんは「働く男」って感じで、いつもがんばっていた。(『私の中のGLAY』清水由貴著/コアハウス刊)



 また、この年の一一月には、アマチュアバンドの登竜門だった当時の深夜番組『平成名物TV 三宅裕司のいかすバンド天国』(イカ天)にも出場している。

「うちら函館ロックの台風の目になりたいと思ってやってきた。ハードばかりがロックじゃないぜ。名づけて優しさロックでキングを狙う」


 という意気込みで、高三のときに製作したデモテープの一曲『無限のdejavu』を演奏するも、演奏途中で赤ランプが二つ点灯し、あえなく強制終了となる。審査員の主な講評は次の通り。

「真面目すぎる。毒がありそうだったのに、なくてガッカリ」(斉藤ノヴ)

「アイデアはあるんだけど、落差がない。ずっとAメロを聴いている感じで、長い一番だなあと思った。ビート感がないとつまらない」(元ARBの田中一郎)


 このように、よくあるバンドの一つとして不合格になっているのも、今となっては微笑ましい。

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