『ミュージシャンはなぜ糟糠の妻を捨てるのか?』
[著]細田昌志
[発行]イースト・プレス
一九五九年、大分県別府市生まれの山下久美子は、八〇年『バスルームから愛をこめて』で歌手デビュー。八二年『赤道小町ドキッ』の大ヒットで人気歌手の仲間入りをはたす。
二人の出会いは、山下の新アルバム『BLONDE』の制作過程においてである。『赤道小町ドキッ』のイメージを払拭すべく、ロック色の強いアルバム制作を目指したプロデューサーの吉田建が、白羽の矢を立てたのが当時無名ギタリストの布袋寅泰だった。
俺は気合いが入った。あの吉田さんからの熱烈な指名だ。俺のギターをそれほど買ってくれているのか。
嬉しかった。人気ではなく、ミュージシャンとしての俺を評価してくれていると感じたのである。