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うつもボケも寄せつけない 脳とこころがホッとする健康学
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2 うつ治療の歴史から見えてくるもの

『うつもボケも寄せつけない 脳とこころがホッとする健康学』
[著]高田明和 [発行]すばる舎


読了目安時間:25分
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◆うつと関連する自殺者数の推移

 うつの怖さは、その診断・治療の過程で、患者本人が自殺してしまう危険性があることです。人が自殺にいたる動機は貧困や経済苦など社会的な要因もからんだ複合的なものなので一概には言えませんが、うつが少なからずかかわっているとされます。

 わが国では2011年まで14年連続で、自殺者が3万人を超えていました。これは先進国でもきわめて深刻なレベルです。

 直近の2012年版「自殺対策白書」(内閣府発行)によれば、2011年の場合、前年に比べ1000人ほど減少したものの、1年で3万651人が自ら命を絶っています。

 単純計算で「10年で30万人以上」という数字になります。

 これは、いわゆる「中核市」に指定される際の基準人口に等しいわけで、言うなれば、中規模の地方自治体が10年間でまるまるひとつ消えてしまったのに等しいわけです。

 厚生労働省によれば、わが国の精神疾患の患者320万人のうち104万人が、うつなど気分障害の患者であると言われています。うつと関連が深いとされる自殺者数の推移を見るたび、豊かな日本で、なぜ? という思いにとらわれざるをえません。

◆診断も困難、治療はもっと困難

 先ほど、うつはあくまでも〈主観的な病〉であると述べました。血液検査でわかるような病気とは違うとも述べました。

 もちろん、医療現場には診断・治療の基準とされるガイドラインがあります。

 いわゆる「DSM‐Ⅳ」と呼ばれているのがそうです。

 この「Ⅳ」というのは、それが時代とともに改めれ、当初版や旧訂版より精度の高い症状の定義づけや分類がなされた「4訂版」であることを意味します。

 しかし、それもひとつの〈ものさし〉でしかありません。

 ガイドラインを参考にしつつ、あくまで主観的である訴えを、本人や、場合によってはその家族から聞きながら、医療現場では診断を下すことになります。その診断作業の難しさは、その原因を探ることの困難と直結しています。

 先ほど自殺の原因が複合的であると言いましたが、うつの原因もまたしかりです。うつはたしかに過労やストレス、フラストレーションなどで引き起こされます。

◆うつと遺伝の関係

 また、遺伝も関係すると言われます。

 多くの人にとって〈自分がなぜ、うつになったのか〉を判断したり、特定したりすることは、困難をともなうことです。ときには苦痛さえともないます。そのきっかけを医師からたずねられても答えられない場合が多く、そういう場合に、しばしば患者さんが語るのが、「自分の親も心配性で、いろいろ悩んでいた。その遺伝かもしれない」という、それなりに納得のいく説明です。

 たしかに統計的には、家族にうつの人がいた場合、うつになる率は2倍くらい高くなります。とくに「双極性障害」(精神が極端に高揚する「躁状態」と、逆に、極端に落ち込む「うつ状態」が交互に現れる。「(そう)うつ病」とも)に限って言うと、その率は5倍とも言われます。

 しかし、うつが先ほどから申し上げている〈ものの考え方〉や〈感じ方〉あるいは環境の影響などによって起こる病気であることを考え合わせれば、同一家族の成員がみな似たような考え方をしたり、同じような価値観をもったりする可能性は、うつであろうがなかろうが、一般的に言ってかなり高いわけです。
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