ヒューミントだけではない。小野寺は、すでに公刊されている新聞や雑誌などの公開情報をもとに行間を読み解き、秘密情報を探り当てるオシント(オープン・ソース・インテリジェンス)も活用していた。
枢軸国、連合国が交錯する北欧の中立国の都、ストックホルムに駐在した利点もあったことだろう。現地で発行されるスウェーデンの新聞のみならず、スウェーデン参謀本部情報部に協力者を得て、特別ルートで『ニューヨーク・タイムズ』や『タイム』『ニューズウィーク』などの米英の新聞、ニュース雑誌、さらに軍事技術を記した専門雑誌も検閲なく入手できた。