それにしても戦後六十八年を経て、なぜポーランド政府がガノを顕彰したのだろうか。それはガノがポーランドにおける対ソ(ロシア)諜報の第一人者であったことと無縁ではないだろう。
ガノは、ポーランドが一九二一年に独立を果たすまでロシア軍兵士として戦い、ソ連に残ったかつての同僚や部下らから情報も入手して、ボルシェビキの思想と行動を皮膚感覚で熟知していた。窮地に立たされた日本を救うべく小野寺にもたらされた「ソ連が対日参戦する」という、あのヤルタ密約情報も、ポーランドきってのロシアウォッチャーゆえのインテリジェンスだったのかもしれない。いうなればソ連にとってガノは、不

戴天の敵だった。