シギントにおいて日本は完敗していたわけではなかった。陸軍参謀本部には、「特種(殊)情報(特情)」と呼ばれる特殊情報部があり、通信を傍受、解読するシギントを行なっていた。堀栄三『大本営参謀の情報戦記』によると、陸軍特殊情報部は大正十年、外務省電信課分室に、陸軍、海軍、外務省、逓信省の合同暗号研究会として生まれ、参謀本部十八班として活動していたが、昭和十八(四三)年八月、陸軍中央特殊情報部と名称を変更し、暗号解読、暗号作成を任務としていたという。
三六年頃から開戦直後の四二年頃までアメリカ国務省の外交暗号、武官暗号を傍受して解読している。しかし、それを察したアメリカは暗号を変え、その後、解読は進まなかった。