世界第二位の経済大国にふさわしく超高層ビルの建設ラッシュが続く中国最大の近代都市、上海に西洋文化が入り混じり、ノスタルジックな街がある。かつて外国人たちが作り、栄華を極めた租界(外国人居留地)だ。二十一世紀の超大国を目指す中国人には、欧米列強の支配を受けた屈辱の歴史を想起させる「負の遺産」であるが、どことなく醸し出すレトロでモダンな雰囲気は訪れる観光客を魅了する。とりわけ租界時代の西洋建築が華やかに並ぶ外灘(バンド。「外国人の河岸」という意味)は、上海随一の観光スポットである。
租界があった時代、モダンな都市文化の陰で列強の陰謀が渦巻く上海は混迷の度を深める国際情勢の縮図ともいわれた。