北欧で唯一の中立国スウェーデンでは、連合国、枢軸国双方のインテリジェンス・オフィサーが交錯して、虚実入り乱れて激しい情報戦が展開された。
特記しなければいけないのは、マーシングが連合国側にも情報源を持ち、情報を提供していたことだ。フランスのドゴール派の駐在武官補佐官だったピエール・ガルニエだった。
マーシングが日本の陸軍武官室に出入りし、小野寺のために働いていることがわかっているのに、ガルニエは、ストックホルムでドイツ随一のインテリジンェンスオフィサーと言われたカール・ハインツ・クレーマーをフランスのエージェントにするように、マーシングを通じて小野寺に働きかけている。