大戦末期に枢軸国連合で掴み、連合軍側に大きな衝撃を与えたアーネム情報にハンガリーの情報士官が関わっていたことに驚かれた方も少なくないだろう。ポルトガルで暗躍するハンガリーのフィリップのほかにも小野寺はハンガリー人諜者を利用していた。小野寺が一九四五年三月二十日付で桜井敬三駐マドリード陸軍武官宛に打った電報に出てくる。
「ハンガリー人のエージェント、コバッツ・ギュウラがポルトガルからマドリードに向かい、グランドホテルに投宿するので彼を訪ね、彼から諜報計画を聞いて報告してほしい」(英国立公文書館所蔵秘密文書、「HW35/89」)