当時の日本の中枢は、なにゆえ小野寺の警告情報を無視して不毛のソ連仲介和平工作に国運をかけたのだろうか──。この謎を解く機密文書が英国立公文書館にあった。スイスのベルンに駐在する中国国民政府の陸軍武官、Robert・Chitsun(中国名・斎

)が一九四五年六月二十二日付で重慶に打った電報である。
「米国からの最高機密情報」として、
「国家を救うため、現在の日本政府の重要メンバーの多くが完全に日本の共産主義者たち(原文では日本共産党だが、日本共産党は党組織が壊滅していたため、日本に存在した共産主義者たちの地下ネットワーク、あるいはコミンテルン諜報網と訳す)に降伏している。