──どこまで行っても終わらない話
本書の出版にあたり、一人さんから読者のみなさまへメッセージをプレゼント!
はなゑさんが録った一人さんのお話を、そのまま活字に起こしてお届けします。
どうぞ、楽しんでお読みください。
この世の中には、不思議なことがいろいろあって。
人間の理解をはるかに超えたことがたくさんあるんだ、っていうんだけど。
わたしにとっては、「この宇宙には終わりがない」ということが、いちばん理解できない。
まだ子どもの頃、一人さんは「終わりがないって、何なんだろう」って。
あぁ、わたし、自分のことを「一人さん」っていうの。自分で自分のこと「一人さん」っていうぐらい、自分のことを大切にしてるんだけど(笑)。
そんな一人さんが、子どもなりに一生懸命、この宇宙について考えた。
ずうーっと行くと、この宇宙のどこかに壁か何かがあるんじゃないか。
壁があるとして、その壁をずうーっと掘って行くと、終わりなく壁なんだろうか。
掘っているうちに、その壁から抜け出たとしたら、抜け出たところは空間だから、そこをまたずうーっと行く。
あれ? これ、終わらないぞ──って(笑)。
終わりがない。
ということは、始まりもないんだよ。
「始まり」があるから「終わり」がある。「終わり」があるから「始まり」があるのであって。
だから、終わりがなかったら、当然、始まりもない、と。
これが、この宇宙の本質か──とかいいながら、実は、宇宙の本質なんてわかっちゃないんだな(笑)。
だいたい、終わりのないものが存在するってこと自体、信じられない。
だけど、オレが信じようが信じまいが、宇宙は確かにあるんだよ。
だから、宇宙というのは、人類の叡智をはるかに凌駕する、得体の知れない何か──。
わたしは子どもの頃、病気でひたすら寝てて、何もすることがないからさ、そういうことを考えてたの。
ワケのわからないことを考えるのが、子どもの頃からの趣味でね。
すぐに答えが出るようなことを考えたって、ひとっつも、おもしろくないんだよ。
永遠に答えが出ないようなことを考えるのが、わたしにとって楽しい。テレビのクイズ番組を見てるよりも、ワクワク感がある。
それの延長で、あるとき、わたしはこんなことを考えた。
「人は死んだらどうなるんだろう。死んだら終わりなんだろうか。死とは何なんだろう」
お釈
さまは二十歳ぐらいの頃に、そんなことで悩んでいたんだけど、一人さんの場合、幼稚園の頃にそんなことを考えだした(笑)。
きっかけは、飼っていたネコが死んだの。
それまで、身近なところで死というものを経験したことがないし、前日まで仲よく遊んでたネコが突然、動かなくなったもんだから、これは何なんだろう、って。
死んだら、真っ暗になっちゃうのかな。
お母さんや友だちともう会えなくなっちゃうのかな。
段々、エスカレートしていって。
目を閉じたら、もう二度と戻ってこれないんじゃないだろうか──そんなことを思ったら、怖くて目を閉じることもできない。
眠れなくなって、気がつくと朝になっていて、
「あぁ、目が開いてよかった」