ソ連のこの対日核恫喝は西ドイツやイギリス、フランスなど他のヨーロッパ諸国の専門家たちとのインタビューでも何回も話題になった。ソ連が非核国の日本に核攻撃の脅しをかけたという点では解釈はみな一致していた。
ところが、である。
ヨーロッパの取材旅行を終えて帰国してすぐ、日本にはこうしたヨーロッパの受けとめ方とはまったく違う解釈があるのを知ってびっくりした。ソ連の対日非難を核攻撃の脅しとはみなさない解釈である。それは朝日新聞八四年八月十七日付の社説だった。
このレポートの主旨は新聞批判ではなく、あくまで国際安全保障ではあるが、コトは日本の安全保障の根幹にかかわるような重要問題である。