スウェーデンで安全保障問題に関して有名なのは、「ストックホルム国際平和研究所」(SIPRI)である。この研究所はスウェーデンの百五十年間に及ぶ中立と平和を記念して一九六六年に創立された。スウェーデンによってつくられ、その資金で運営はされるが、スウェーデンに所属はしない。独立した国際機関なのである。
活動方針を決める理事会は、スウェーデンのほか東西ドイツ、イタリア、フィンランドなどの学者や政治家で構成される。研究員にもソ連、アメリカ、中国、チェコスロバキア、日本などの専門家がいる。ちょうど国連のような構成なのである。ただしスケールは小さく、所員すべてあわせても四十人ほどだ。安全保障や軍事力、平和に関する研究をして、その結果をハンドブックや本、年鑑として発表している。
ストックホルム市の郊外にある国際平和研究所は、三階ほどのいかにも北欧らしい西洋館といった感じの小さな建物にあった。