ヨーロッパの安全保障をさぐる私の旅は、スウェーデンからオランダへと舞台を移す。主テーマは依然、ソ連をどうみるかだが、オランダではとくに最初に反核運動に光を当てることにした。オランダは中距離核ミサイル配備への反対がもっとも激しく燃えさかった国だからだ。
「日米安保条約は堅持、自衛隊も堅持あるいは増強。しかし核兵器の国内配備には反対」――。
オランダの反核運動の主張を日本におきかえてみると、こんなふうになる。日米安保への反対や自衛隊の否定と表裏一体となった日本の反核運動とは、基本的な違いがある。日本の新聞でヨーロッパの反核運動報道をいくら読んでも、どうもこのへんの基本がわからなかったのだが、実際に現地へ行ってみるとほんの数日間でモヤがすっきりと晴れた。