さて反核運動指導者のホーゲンブリンク氏の次には、オランダの安全保障政策のうえでは他方の極にいる人物の言を紹介しよう。「オランダ国際関係研究所」の主任研究員G・C・ベルクホフ氏である。
この研究所はオランダ政府の付属機関で外交や防衛を研究テーマとする。ベルクホフ氏は実は現役の陸軍少将である。国防大臣の特別補佐官、陸軍の副参謀長をつとめたあと八四年三月までは陸軍の機甲歩兵旅団の司令官だった。現在は陸軍から出向の形でこの研究所に勤務している。一年半の予定で、アメリカのレーガン政権が着手しようとしている「戦略防衛構想」(SDI)についておもに研究するのだという。
話はややそれるが西ヨーロッパ各国で安全保障の専門家たちと話しあってみて、彼らがいまもっとも深い関心を払っているのはこのSDIであることがわかった。