イギリスの安全保障政策の基本は抑止である。NATOによる集団防衛態勢を通じての抑止がその基盤となっている。このへんの考え方をサッチャー首相みずからは次のように説明している。
「政府の第一の任務はわれわれの将来と、われわれの生活方式とを安全に守ることである。そのためにはわれわれはイギリスを強力に、かつ自由にしておく決意を潜在敵に示さねばならない。万一、侵略を考える相手にはわれわれがそうした侵略をはね返す軍事能力と意思とを持っていることを知らせておかねばならない。八三年六月の総選挙でもイギリス国民の圧倒的多数は自国が十分に防衛されることが不可欠と考えていることが判明した。彼らはイギリスの核兵器が核戦争のみならず、通常戦争をも防止する役割をはたしてきたことを認めている」(八三年十一月の保守党大会での演説)