さて私はロンドン市内のタビストックという通りにある「国際戦略研究所」(IISS)をも訪れた。この研究所は安全保障や戦略の研究では、西側で最高の権威とされる。一九五八年にイギリスの学者、政治家、言論人らにより創立されたが、六四年からは完全に国際的な運営と管理に移されている。
研究所の建物が意外と小さく、質素なのにおどろいた。世界的に名声の高い研究所ということで、堂々たる近代ビルを想像していたら、古ぼけた三、四階の、なんの変哲もない小さな建物だったのである。私はここでまずロバート・オニール所長に会った。前日の昼食ですでに顔を合わせていたが、こんどは一対一のインタビューである。