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(2021/11/26 追記)

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子どもを伸ばす話し方、ダメにする話し方
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くらし
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はじめに

『子どもを伸ばす話し方、ダメにする話し方』
[著]海原純子 [発行]PHP研究所


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 私が大好きな哲学者クリシュナムルティーの言葉に次のようなものがあります。



  教育とはその子が何が好きなのかをみつける手伝いをすることである



 深い意味を含んだ言葉だと思います。教育というと、すぐ数学や国語や英語を教えなくちゃ、と思ったりするものですが、そうではなく、

“その子が好きなこと”


 つまりその子がどのように自分らしく生きるかをみつける手伝いをすることが教育、というわけです。


 ふだん私達が教育、と思いこんでいるものには、二つの目的があると思います。第一の目的は社会に適応するために必要な知識を教えること。第二の目的は、子どもに様々な分野を提示して、その子どもが将来進む選択肢を示すことです。


 ところが残念なことに、算数や国語や社会の勉強が単に成績を比較するだけに終わってしまい、自分らしく生きる道を探すという教育本来の意味はどこかに忘れ去られてしまっています。

「自分らしく、なんて言っていたら今の社会に生き残っていけないわ」


 とお母さん達は思うかもしれません。ところが、そうではないのです。


 私は医療にたずさわって三〇年たちます。その間ストレスで体調をくずしたり、うつに陥ったりする方々とかかわってきました。あるいは暴力的な子どもに悩んだり母子関係がうまくいかずそれが原因で病気になったり、ものに依存したりする方々のカウンセリングも行ってきました。そうした人達は、社会的には勝ち組といわれる職業についていたり、あるいは成績も優秀だったりするにもかかわらず、自分らしさをみつけることに失敗しているつらさから、様々なトラブルをひきおこしていることが多いのです。そして、どうして自分らしい人生が送れないか、というその根っこのところには子どものころの環境が大きく影響しているのです。

「とてもいい子で親の期待に応えようとがんばり、その結果、自分が本当にしたい人生ではなく、親のためにその職業を選んでしまった」あるいは、「母子関係が悪く、否定され続けたために、常に自分に自信がなくなってしまった」などということがあるのです。


 子どもが自分らしく生きるためには、母親の真の「教育力」がものを言います。子どもを一人の人間として世の中に送り出すのには母親の「教育力」が必要です。そして、そのもとになるのが「コミュニケーション能力」と、母親自身が「自分らしく生きる姿勢」です。子どもの力を引き出すためには、まずは子どもを受け入れ、子どもの話に耳を傾けることでしょう。


 このしっかり聴く、という能力が不足していて、いつも子どもに命令ばかりして、話を聴こうとしていないお母さんが多いのが気になります。しっかり聴いてもらい、うけ入れてもらった子どもは、自分の心のありのままを表現できる安心感と自信をもち、外でつらいことがあっても帰ってこられる「場」をもつことができるのです。そうすると表面上だけ「いい子」にして、心の中につらさや苦しさをおさえこんでしまう子どもになることはありません。


 自分らしく生きることと、自分勝手にわがままに生きることとは違います。自分らしく、しかも周囲の人々や生き物や自然にやさしく思いやりをもつ子どもに育てるには、母親自身がそうした姿をみせてお手本を示すことです。「まわりの人にやさしくしなさい」とくり返すより、母親自身が、まわりの人々を手助けする姿を子どもにみせることでしょう。そして母親が自分らしく生きる姿をみせてほしいと思うのです。自分らしく生きられない母親は、子どもに自分の期待と夢をおしつけ、思い通りの人生を送らせようとシナリオを書いたりしています。

「あなたのためを思って言うのよ」


 という言葉の裏にもしかすると、母親を満足させてほしい、母親の鼻を高くしてほしいという思いがないでしょうか。


 子どもは本当に好きな分野がみつかると夢中になり努力するものです。勉強しなさい、と命令するより、子どもが努力するのがイヤではないものや、子どもの才能をみつける手伝いをして下さい。それが子どもが自分らしさを生かすプロセスにつながるのです。


 勝ち組、負け組などと言われることの多い現代、子どもを負け組にしたくない、とお思いのお母さんは、ぜひ子どもが自分にぴったりあった人生を送れるように、お子さんとあたたかいいい関係を作っていただきたいと思います。


 どんなに社会的に評価される職業についても、自分らしく生きられなければ「負け」なのです。


 自分が本当に好きなことをして、それが社会に役立つような人生を選べば、大金持ちにはなれないかもしれませんが、心地よく幸せに生きられることは確実です。自分に自信をもちつつ、他者への思いやりを育て、社会に貢献しようという大志をもつ子どもを社会に送り出してほしいと願っています。


 お母さんの「コミュニケーションの力」をアップさせるために、そしてお母さん自身が心地よい人生を楽しむために本書がヒントになってくれれば、と思っています。



 二〇一〇年七月


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