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銀行員だけが知っている
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第1章 銀行員たちの驚くべき日常

『銀行員だけが知っている』
[著]長岐隆弘 [発行]PHP研究所


読了目安時間:37分
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転職して銀行員になった私が見たもの


 銀行を舞台にしたドラマ『半沢直樹』が大ヒットし、原作の一連の小説も大ベストセラーになるなど、銀行員の注目が高まっています。

 この本は、私が銀行員時代に培ったお金に対するマインドや付き合い方をベースにしてみなさんに「お金に好かれる」ためのノウハウを伝えるものですから、ここで私がどんな銀行員生活を送っていたのかを少しお話ししてみることにしましょう。


 私がメガバンクに入ったのは大学卒業後4回の転職を経てのことでした。実は、学生時代も銀行への就職を希望していました。ところが私が卒業した平成8年はバブル崩壊後の就職氷河期。募集人数も少なくて、なかなか思うような就職ができない状況でした。法学部で法律を勉強していたので、その知識を金融に生かしたいと願っての銀行入行希望でしたが結局内定を取ることができず、第2希望であった住宅メーカーに就職しました。学生時代に宅地建物取引主任者の資格をとっていたこともあり、こちらはスムーズに決まりました。


 入社後は、法学部卒ということで不動産鑑定士の資格を7年間という長い期間の苦労のすえ、とりました。その後、平成16年くらいに不動産のファンドバブルが起こりました。

 IT業界の潤沢なお金と外資ファンドが日本の不動産を一斉に買い始めたのです。物件の選定の際には、私のような不動産鑑定士がその物件の価値を判断して鑑定評価書をつくります。取引の中での位置づけはプレーヤーではなく、いわば審判の役割です。不動産ファンドの取引は一つひとつが大きな金額の案件ですから、その中で活躍するプレーヤーは注目を浴び、業界では一種の有名人となります。そのうち私もプレーヤーとして活躍したい、と考えるようになりました。

 大型の案件をまとめるためには買い手側はどこかでお金を調達することが必要です。それが、銀行でした。当時、一部の都市銀行では貸出金額を決めるためにファンド物件を的確に鑑定できる人材を求めていました。資金の貸し手側に回るということは、その案件の中では川の上流にいるということになりますし、差配するポジションをとれるということですから私の望みとも合致し、タイミングもよかったようで中途採用で銀行への入社が決まりました。学生時代にはかなわなかったことが、少し遠回りはしましたがついに実現できたのです。

「傭兵部隊」と呼ばれる部署に配属


 配属されたのは、本部の中にある専門部署。担保に取る不動産を鑑定し、融資するかどうかを判断するというのが主な仕事でした。

 都市銀行は合併を繰り返し、今では三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3行に集約されています。私の入った銀行も2つの大きな勢力が互いに全然違うカラーを持っていて面白く感じたものです。

 かたやおっとりしたボンボン気質、もう一つはアグレッシブな商人気質でした。

 大きな組織というのは、同じタイプの人間だけではうまく回らなくなるものです。少数精鋭ではなく多種多様な人材がいる職場をつくろうと純血主義を捨てて中途採用を始めるなど、銀行もよりよい環境づくりを模索していた時代です。

 私の所属部署は数百億円規模の不動産を取り扱う部署でした。不動産の専門知識が必要とされるため私同様中途採用の人間も多く、それが第三勢力となっていました。

 もともとの二大勢力に加えて私たち中途組が三つ(どもえ)となり、まるで『三国志』のような状態でした。他部署よりも中途採用の人数が多かったため「傭兵部隊」と呼ばれていました。

 と言っても、争っていたわけではありません。カラーや背景は違いながらも協力して業務を進めていました。銀行は実力成果主義ですから、みんな仕事ができる人ばかりです。今思い出しても、忙しくも充実した毎日でした。

え!? そんなに古いパソコンを使うの?


 銀行員時代の思い出として印象に残っているのは、パソコンなどIT機器の古さです。入行した平成20年当時、行内で使っていたのはウインドウズ98でした。なんとなくメガバンクと呼ばれる銀行なら、最先端のIT機器を使っていると思いこんでいましたから、これには本当に驚きました。

 ただこれには理由があって、古い使い慣れたパソコンの方がウィルスが侵入しにくいのでセキュリティ上安心できるからということでした。コストの問題ももちろんあるとは思いますが、銀行の場合は何よりもセキュリティを優先します。顧客の重要な秘密を守る立場にある銀行としては、そうなるのは当然です。

 しかし実際使ってみると、私にはとても不便で大変困ってしまいました。ずっと使い慣れている人は何とも感じないのでしょうが、私のように外から来た人間には「起動が遅い」「ソフトのバージョンが古い」ことが不便なうえに、外部の人との書類のやり取りの際にもずいぶん恥ずかしい思いをしたものです。

銀行員はガラケー保有率が高い


 ただ、アナログの方が情報を守りやすいというのは事実のようです。そのせいか、銀行員はいまだにスマートフォンではなくガラケーを使っている人が多いのです。自宅ではパソコンは使わないという人もたくさんいます。

 セキュリティということで言うと、銀行には「風紀委員」と呼ばれる監視係がいて、常に監視の目を光らせています。

 例えばプリンターで書類を打ち出してそのままにしていると、風紀委員がやってきて厳重注意を受けることになります。打ち出した書類がもしも外に持ち出されたら、そこから機密情報が漏れてしまいますから、これは大事なことなのです。


 また、引き出しに鍵はかけているか、余計なものは入れていないかなども風紀委員がチェックをしています。年に何度かは抜き打ちのかばん検査もあります。持ち出し禁止の書類が入っていたりしたら反省文を書かされ、マイナス評価をつけられてしまいます。このような環境で仕事をするうちに、銀行員はみんな秘密主義になり、他人を信じない性悪説になっていくのです。

メガバンク銀行員の三種の神器とは?


 メガバンクの銀行には優秀な人が集まっています。そもそも有名なエリート大学の卒業者が多いうえに、大学時代の成績が抜群によかった人、家庭環境に恵まれた人などが周りにはたくさんいました。そういう人たちの中に自分もいるというのがある種のステイタスでもあるのです。

 メガバンクの場合、新卒だけでも1000人規模の採用ですから同期が1000人いるということになります。人数が多いからその分競争も激しくなります。

 特にポストを争う出世競争は熾烈(しれつ)です。定年まで銀行員のままいられる人は少数で、たいていは40代後半くらいになると出向で外の会社に出されてしまいます。
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