北朝鮮のわかりにくさは、第一にその政治体制にある。「朝鮮民主主義人民共和国」というからには、王制や専制を否定した国民主権の国家のはずである。しかし、国政選挙すら行なわれず、古代王朝のごとく世襲の独裁権力によって統治されていながら「社会主義国家」だというのだから、何が何だかわからなくなってくる。
そこで直感的にイメージされるのは、表向きは社会主義国家の看板を掲げながら、その実は世に「金王朝」と形容されるように、アジア地域に古来続いた王朝国家の統治システムを密かに導入している、といった国家の姿である。