北朝鮮は、社会主義国家であるとともに強固な民族主義国家である。
しかしこれは、理屈からいえばかなりおかしなことである。社会主義社会はひとつの国の内部で達成されるものではなく、国家を超え、民族を超えた「国際的な労働者・人民の連帯」によって、最終的には国家がなくなることによって達成される──これが社会主義の考え方のはずである。そうならば、そもそも社会主義の立場から国家をつくること自体が矛盾ではないか。社会主義国家は「国家や民族を否定していく国家」という、自己矛盾の上に成り立ったごまかし国家、欺瞞国家じゃないか、ということになるだろう。