朝鮮半島で民族主義(ナショナリズム)といえる動きがみられるようになったのは、日本のように近世末期のことではない。日本による併合から九年後に起きた「三・一独立運動」(一九一九年)以後のことである。そして、民族としての自覚が本格的に国内に広がったのは戦後のことである。
それに対して日本では、江戸末期の「ペリー来航」(一八五三年)を契機として急速に民族主義が勃興し、その流れから明治維新があり近代民族国家が形成されていった。
一般的には、同一の祖先をもつと信じられ、共通の文化(言語、宗教、習慣、生活様式など)をもち、一定の広がりのある同一地域に歴史的に生活を展開してきた人々の集団を民族=ネイションといっている。