米占領軍が、「戦前日本の過激な国家主義的イデオロギーの内容」と規定したのは、結局のところ、自民族が他民族よりも優越するという主義、エスノセントリズムである。そしてたしかなことは、現在の日本にはエスノセントリズムどころか、民族主義そのものが希薄であり、その反対にかつて日本の統治下にあった現在の韓国と北朝鮮がエスノセントリズムの傾向を色濃くもっているということである。とくに北朝鮮の民族主義は、エスノセントリズムそのものである。
エスノセントリズムとは、もともとは文化人類学の用語で、自民族の慣行や規範を正統なものとし、他民族の異質さを不自然で不合理で間違ったものとみなす態度のことだといってよいだろう。