朝鮮半島は、日本語以上の漢字中心文化の伝統をもち、日常語の実に七〇パーセントに漢字語が使われてきた。にもかかわらず、戦後は韓国でも北朝鮮でも漢字をすっかり廃止してしまった。
韓国と北朝鮮が漢字を廃止したのは、言語学などの面からよくよく考えた上でのことではない。ハングル専用主義が、戦後韓国・北朝鮮の極端な愛国主義・民族主義と深く結びついたためである。
ハングル専用主義はエスノセントリズムと不可分のものだが、北朝鮮ではそれを当然のこととしている。そのため、ことさらハングル専用主義の主張が伝わってくることはない。
最近の韓国では、金大中政権が漢字復活を提唱したことから、少しずつ漢字復活論が出はじめている。