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たくましい人 弱い人との違いは何か
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生き方・教養
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1 何故トラブルは起きるのか?

『たくましい人 弱い人との違いは何か』
[著]加藤諦三 [発行]PHP研究所


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トラブルの原因は目に見えない
 この世の中で何かをすればトラブルは起きる。しかし自分が何も動かなくても事は起きる。どんなに慎重になっても現実の世の中で生きている以上人間関係のトラブルは起きる。

 自分がどんなに正しいことをしていてもトラブルは起きる。こちらが交通規則を守って慎重に正しい運転をしていても車の事故は起きる。

 大変なことは周りが勝手に持ってくる。

 こちらが約束の時間を守っても、相手が約束の場所がよく分からないで遅れてくるということはある。そしてこちらが弱い立場で相手に文句を言えないでいる。すると、その次の仕事が上手くいかない。

 こちらが時間を守ろうとしても道路が事故で予想以上に渋滞して身動きできないということもある。

 どんなに平穏無事に生きようとしても世俗の世の中で生きている限りトラブルは起きる。

 とにかくこの世の中には不満な人が多いのだから人間関係のトラブルは避けられない。不満な人は、人のあら探しが生き甲斐になる。

 例えばの話。

 夫と上手くいっていれば、奥さんは他人の子どもにはちょっかいを出さない。

 しかし夫と上手くいっていない奥さんが多いからあなたの子どもにちょっかいを出す。あなたにとっては余計なお世話だが、あなたの子どもにちょっかいを出す人はあなたの周りに沢山居る。

 そしてトラブルが起きる。あなたがどんなにその人と関わりたくなくても相手が関わってくる。

 それが世俗の世の中で生きるということである。世俗の世の中で生きるなら、人間関係のトラブルは避けられない。

 トラブルの原因は目に見えない。もし原因が目に見えるのなら人はトラブルを避けられる。

 しかし人間関係のトラブルの原因は人の心の中にあるから、目には見えない。

 独身でいても問題は起きるし、結婚していても問題は起きる。結婚生活に問題があるからと離婚をしても、引き続き問題は起きる。

 離婚の時にどんなに養育費の取り決めをしていてもそれは守られないことが多い。そこで養育費のことを巡ってトラブルが起きる。

 結婚生活が長く続いているからといって、その結婚生活に問題がないわけではない。調査によれば結婚が長く続いている人たちは問題解決能力がある人たちである。

 欲求不満な人は攻撃的である。人を攻撃することで心の傷を(いや)す。人を苛めることで心の傷を癒す。

 自分の本当の不満の原因が親であっても、親への攻撃ができない時には、兄弟に攻撃性を置きかえる。それもできなければ仲間の悪口を言って回る。

 あなたがお人好しで黙っていれば欲求不満な人はあなたを攻撃してくる。あなたを苛めてくる。欲求不満な人は不満のはけ口を探している。
「能あるタカは爪を隠す」という格言があるが、世の中には能のない欲求不満なタカが多いから、爪であっちこっちをひっかく。

世の中には、色々な価値観の人が生きている
 世の中の人が皆同じ価値観なら人間関係のトラブルも少ないだろう。しかし現実の世の中には色々な価値観の人が生きている。

 自分の世界観では相手を傷つけていなくても、相手にとって傷つくことをしている、言っていることはよくある。

 ある女性アナウンサーである。その人とある教授が仕事で待ち合わせをした。その教授の方は出がけに突然人が訪ねてきて、意図せずして約束の時間に遅れてしまった。

 するとそのアナウンサーが後にその教授の悪口をあるところに書いた。ことはそれだけではすまなかった。その悪口を他の教授がコピーして学内にばらまいた。

 何故そんなトラブルが起きたのか?

 それは先ずそのアナウンサーと教授の価値観が違ったからである。そのアナウンサーは約束の場所に心理的に「構えて」きた。それなのに相手は遅れてきた。

 そこでその遅れてきたことをそのアナウンサーは「私をアナウンサーと思って軽く見た」と自分の価値観で、相手の遅れを解釈した。

 もちろんそれは間違った解釈であった。そのアナウンサーは自分の職業に誇りを持っていない。

 彼女がその悪口を週刊誌に書いたということは悔しかったからである。「そこまで悔しかった」ということである。

 小売店には文句を言わないが、デパートには文句を言う。プライドは関係によって決まる。

 小売店でも問題は起きるしデパートでも問題は起きる。

 彼女は劣等感を隠しているからそうふるまう。

 彼女は派手な生活をしているが、心の底には劣等感がある。

 努力や実績以上に収入も名声もある。彼女は濡れ手で粟の生き方をしている。それを心の底で自分は知っている。

 悪口を書いた彼女にも問題があるし、それをコピーして学内に配る教授にも問題がある。配る人も欲求不満な人である。両者とも自分が傷ついている。

 しかし世の中には問題のある人は多い。傷ついている人は多い。

 彼はビラを配られて心理的にまいった。しかし実はビラを見た人はそこで終わりなのである。皆は問題にしていない。

 しかしビラをまかれたということを知った当事者はいろいろと憶測をして心理的にまいる。

 一般的に中傷はそこを(ねら)っている。中傷の怖さはそこにある。

 そういう話を聞いた時に、聞いた人は一瞬で終わっている。しかしそれを知った当事者がいつまでも気にする。

トラブルは向こうからやって来る
 世の中には劣等感が深刻な人も沢山いる。誰と会っても「私を馬鹿にしないだろうか」と思っている。

 そういう人は普通の言葉も軽蔑の言葉と受けとる。そして仕返しをしようと思う。

 あなたの言った好意的な言葉さえトラブルの原因になる。

 誰だってそれほど自信があるわけではない。自分では人から痛めつけられていると思っている。苛められていると思っている。軽くあしらわれていると思っている。トイレで泣いている。

 しかし周囲の人はあなたがトイレで泣いていることを知らない。周囲の人は、「自分は泣いているのに、あなたは泣いていない」と思っている。

 そこであなたの言動に何か傲慢さを感じて刺激される。それを根に持っている。そこでいつか仕返しをしようと思う。そこであなたが会社でちょっとした失敗をする。それが大袈裟(おおげさ)に取り扱われる。

 また世の中にはナルシストも多い。自分のアイディアや意見が素晴らしいと思い込んでいる。得意になってペラペラと演説をする。

 感心して聞いていないと面白くない。そこで感心して聞かない人を(うら)む。

 そういう人が職場や地域社会で様々なトラブルを起こす。

 会社でも自分の位置が分からない人がいる。血縁関係でも同じ。自分の位置が分からないということは責任ある仕事から逃げているということである。

 そうした「出しゃばりな人」は自分の意に染まないことが社内にあると、周囲の人の気持ちを考えないで、今までの習慣を勝手に変えようとする。

 そこで周囲の人とトラブルになる。

 心が傷ついている人は仕返しをしようとする。だから早く偉くなって名声を得たい。

 これが強迫的名声追求者と言われる人たちである。みんなに仕返しをしたい復讐性のある人が、この世の中には沢山居るのだから、あっちでもトラブル、こっちでもトラブルが起きるのは当たり前である。

 そうしたトラブルメーカーが居る以上、あなたがどう生きていても、向こうからトラブルがやって来る。

やさしい人の周りこそ事件は起きる
 現実の世の中でトラブルが起きるのは冷たい人ばかりではない。やさしい人でもトラブルは起きる。

 ある中学校で卒業生が在学時代の担任の先生を殺害した。その先生はやさしい人だったという。

 それなのに「何故?」と人々は言う。

 保護者は、学校は「アットホームだったのに」と言うが、学校が「アットホームだったから」こういう事件が起きたのである。

 担任の先生が最も温かかった。

 だから彼は在学中に担任の先生に自分の気持ちを理解してくれることを求めた。やさしい先生だから、「この先生は自分の気持ちを分かってくれるだろう」と思ったのだろう。

 求めて得られなかったから傷ついた。

 冷たい先生やずるい先生なら、彼ははじめから何も求めない。

 テレビは「苛めがあったかなかったか」ということが焦点だと言うが、全く違う。

 苛めがあってもなくても関係ない。

 もしあったとしても、それは何か求めたものが得られなかったことの口実に過ぎない。

 この事件は「冷たい家庭で温かい先生」というのが構図であると私は思っている。

 これらの事件の報道や保護者の反応や教育評論家といわれる人々の言うことを聞いていて、「これならひきこもりが一〇〇万を超えても不思議ではない」と思った。

 その担任の先生がやさしいからこそ事件が起きたということが全く理解されていないからである。

 これならニートが八〇万を超えても不思議ではない。

 これなら幼児虐待が急増しても不思議ではない。

 これならスチューデントアパシーが増加しても不思議ではない。

 これなら不登校が社会問題になっても不思議ではない。

 何もかも本質的なことが理解されていないのだから。

 いずれにしろ冷たい人やずるい人の周りだけで人間関係のトラブルが起きるわけではない。むしろそういうずるい人の周りではトラブルは少ない。

 やさしい人や人格者や誠実な人などの周りで、トラブルは起きる。担任の先生がやさしくなければこのトラブルは起きなかったと私は思う。

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