医療サービスの多くは贅沢品
医療サービスは、「万人にとって必要不可欠であるから、貧しい国でも豊かな国でも同じように供給され、消費されている」というものではない。一人当たりの所得が高くなればなるほど、国全体の医療費も大きくなる。また先進国では医療保険制度その他、医療サービスを低価格で提供する制度が用意されているために、医療サービスへの需要も膨脹する。
貧しければ買わない(買えない)が、豊かになれば買う(買える)、そして所得にくらべて安ければますますたくさん買う──こういう性質のものは、生活必需品ではなくて贅沢品である。医療サービスの多くも、どちらかといえばこの贅沢品に近い性質をもっている。
食べるものが手に入らなければ人は間違いなく死ぬ。その意味で主食とされているようなものは生存に必要不可欠であるが、高級ビーフなどはそうではない。それはカネを出せる人だけが食べればよい贅沢品である。
医療の場合も、怪我や急性の病気などで、これをしなければ死んでしまうという性質の医療サービスは主食にあたる。