ルーマニアとの統合の動き
ペレストロイカの開始にともない、ソ連各地で民族主義復活の動きが顕著になった。黒海の北西岸に位置するモルダヴィア・ソビエト社会主義共和国でも、総人口(432万人)の65パーセントあまりを占めるモルドバ人のあいだに民族主義熱の急速な高揚がみられ、国名の変更(モルドバ共和国)、モルドバ語の公用語化がおこなわれたのをはじめ、1991年8月にはソ連からの独立が宣言されるにいたっている。急進派のなかには西に国境を接するルーマニアとの統合を主張する者もあるというが、そうした声があがってきた背後にはいったいどのような事情があるのだろうか。
実はモルドバ人とルーマニア人とは、同じ民族といってもよいほど非常に近い関係にある。