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(2021/11/26 追記)

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生き方・教養
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安部公房の軽やかな変身ぶり

『天才の法則』
[著]町沢静夫 [発行]PHP研究所


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──創造的退行の『デンドロカカリヤ』

『デンドロカカリヤ』から『壁』にかけて、この作家は急展開の変身をとげる。ふっきれた軽やかさと明るさがみられる。人格の変化もとうぜん伴っていたであろう。
『デンドロカカリヤ』は昭和二十四年の作品であり、人間がとつぜん植物化するという寓話である。泣き笑いのペーソスと同時に軽妙なユーモアが漂っている。それまでの暗い作品風土に比べてまったく一変したともいえる作品である。文章と論理がきわめて簡潔になり、イメージもまったく明瞭で具体的になっている。結末そのものはけっして自己肯定的ではないが、さりとて暗くもないのだ。寓話という一見子供がえりの形式が程よき退行を保ちやすくなってもいよう。ここにきて創造的退行ということがピタリとあてはまる。

 主人公は顔のむきが逆になると、とつぜん植物になってしまうという。しかもその植物はデンドロカカリヤという、日本の内地にはない植物なのである。ここでも主人公は、異端者であることの寓話化を行なっている。植物化するとは「ダンテによれば……自殺者が受ける罰」だという。本人にはそんな記憶はないのである。

 この点は実に象徴的な気がする。つまり『デンドロカカリヤ』以前の作品では、すでにこの作家は作品という内的世界では何度も狂気に陥り自殺しているといってもいいのだ。しかしこの作品を書いているときにはその危機は去り、過去のものとして作家の人格変化がなされつつあると考えられる。したがって作家は、この主人公に自殺の罪など知らぬといわしめているのではないかと思う。
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