渡部 「国語」を奪ったという非難も無理があります。ハングルはもともと十五世紀の世宗が発明したもので、その普及には科挙に合格した特権階級である両班が反対した。彼らにとっては、漢字を使うことこそが地位の象徴で、新しい文字を使うのは宗主であるシナの許可も必要だとしたので、十六世紀初頭には完全に廃れてしまっていました。それを民族の言葉として復活させ、両班、庶民の区別なく普及させたのが日本です。七〇〜八〇%という併合時の韓国の文盲率の高さに驚いた日本は、取り急ぎ教育向上には漢字よりもハングルの普及をと考えたのです。もしこれを疑う人がいるなら、日本の統治以前にまともなハングルの文書があるかどうかを探してみればよい。